大家重夫
『久留米大学法学』第59・60合併号 1頁から44頁。平成20(2008)年10月31日 発行
明治32(1899)年、著作権法が制定された。この法律は、外国人の著作物を保護し、著作権の発生について無方式主義を採用し、著作権の保護対象である著作物の範囲を拡張し、明治26年版権法、明治20年脚本楽譜条例、明20年写真版権条例を統合したものであった。
この著作権法は、水野錬太郎が立案したが、いままでの明治26年版権法などを基礎としたものでなく、ヨーロッパ諸国の著作権法、特にドイツ、ベルギーの法律を参考にしたが、若干の条文は、版権法のそれを引き継いでいる。
著作権法案は、明治32(1899)年1月13目、帝国議会に提出された。貴族院先議で、著作権法特別委員会が設置された。著作権法案に次の条文があった。
「第35条 偽作ヲ為シタル者ハ50円以上500円以下ノ罰金ニ処ス
情ヲ知テ偽作物ヲ発売シ又ハ頒布シタル者及偽作ノ所為ヲ幇助シタル者ハ30円以上300円以下ノ罰金ニ処ス」
「第38条 著作者ニ非サル者ノ氏名称号ヲ附シテ著作物ヲ発行シタル者ハ50円以上500円以下ノ罰金ニ処ス
第39条 著作権ノ消滅シタル著作物ト雖之ヲ改竄シテ著作者ノ意ヲ害シ又ハ其ノ題号ヲ改メ若ハ著作者ノ氏名称号ヲ隠匿シ又ハ他人ノ著作物ト詐称シテ発行シタル者ハ20円以上200円以下ノ罰金ニ処ス
第42条 本章ニ規定シタル罪ハ被害者ノ告訴ヲ待テ其ノ罪ヲ論ス但シ第36条ノ場合ニ於テ著作者ノ死亡シタルトキ並第38条乃至第40条ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス」
明治32(1899)年1月26日、特別委員会で次の問答があった。以下、関係があると思われる箇所を筆者が、そのまま、あるいは若干要約し、また平仮名にして、議事録を転載する(注1)。
菊池大麓君:序文を書きもしないのに誰が書いたと詐称するのがある、又校閲をしないのに校閲したと書いた例がある、現在、私の知っている人で自分が校閲しもしない書物に校閲とあったのを見て非常に驚いた人がある、それ等のことをどうか罰することにしないと甚ださう云う人に対して迷惑になります、是は著作権では無い、逆さまにおっつけられることがありますが、38条でさう云ふのが取り締まれませうか。
政府委員(水野錬太郎君):序文の場合は是でいけましょう。例えば菊池さんは序文を書かないのにある人が菊池さんの序文として掲げたときに是でいけませう。校閲の場合は其人の名を騙ったのだから刑法の信用を害する罪と云ふ方で行けますが、唯今ここに入れるのは困ります。
菊池大麓君:此の法律には入れることは難しかろうか。
政府委員(水野錬太郎君):無理に入れて入れられぬことは無いが関係が少ない、入れることの必要が有れば刑法に入れる方が能くはないかと思います。
久保田譲君:第39条「著作権ノ消滅シタル著作物ト雖之ヲ改竄シテ著作者ノ意ヲ害シ又ハ其ノ題号ヲ改メ若ハ著作者ノ氏名称号ヲ隠匿シ又ハ他人ノ著作物ト詐称シテ発行シタル」云々の罰則について、著作権の消滅したものなら著者の名を害する害せぬは深く問はぬでも宜いと思ひますが。
政府委員(水野錬太郎君):若し削られますと、例えば、頼山陽の日本外史をすっかり直して仕舞って是は山陽の外史だといって出してもよいことになる。あれは、著作権は消えているかもしれないが古人の名誉に関係するし、それから随分場合によると詐偽ということにもなる。山陽がそう言ひもしないことを言ったようになる。それですから、著作権の消えたものでも著作者というものを保護するにはこういうような罪を極めて置かなければ不都合と思います。
久保田譲君:それは改竄したとか或いは訂正したと云ふことがあったら明になりそうなものですが、その儘だと言って虚言を書いてあったならば、法律で改竄したものはしたとか或いは訂正したるものは訂正したということになれば一向に不都合はないじゃございませぬか。
政府委員(水野錬太郎君):そういたしますと、山陽という名を騙るのではない、山陽外史の著であるが、この点に付て改竄をしたという、それならば、39条に当てはまらないと思います。その人の名を挙げてそうして発行する場合を見たのでありますから、明にその点については、自分が修正を加えたとか直したとか云ふことを明言した場合は、39条の範囲外だろうと思ひます。
久保田譲君:それは出来るのですか構わぬのですか。
政府委員(水野錬太郎君):その事を明言して置くならば差支えない。
明治32(1899)年2月2目、午前10時36分。特別委員会で罰則が取り上げられた。38条関係を取り上げてみる。
山脇玄君:35条、36条、37条、38条等の罰則を簡略に纏めたい。
罰則を大別し、偽作を為したる者と、偽作物を廣く弘めるということ、と著作をしてその物を拡めるのが一部類、その他のことというのは違警罪類似(注2)(ああしてはいけないとかこうしなければならぬとか)の二種類にするわけにいかないか。
35条の1項2項を一緒にして、その罰は50円以上500円以下にしたらよい。現行法では体刑になっている、これでは体刑は除いてあるが罰金は重きに従った方がよい。36条から40条まで同じに籠めて仕舞いたいが、37条8条9条は同じ罰にして、10円以上100円以下の罰に止めてよくはないか、40条も籠めて仕舞って10円以上100円以下というような罰にして差し支えないではないか。
38条の「著作者ニ非ル者ノ氏名称号ヲ附シテ」云々といふことと39条の末段に「他人ノ著作物ト詐称シテ発行シタル者」これは、まあ殆ど同じ事柄になりはせぬか。それで、38条の事柄をなくして「他人ノ著作物ト詐称シテ」という方に全く含みはしないだろうが、含ませることにして差し支えがあるかないか政府委員に伺いたい。
政府委員(水野錬太郎君):罰金の高を総ベて一律にしようという趣旨か。
山脇玄君:5条の1項2項を同じにして、50円以上500円以下にして仕舞うので、偽作物を作ることと作った偽作物を拡める者と同じ類の性質のものであるから、これを一つにしてしまう。その他の罰則は、違警罪類似であるからこれをひっくるめて一つの罰にするというのが大体の考えである。
政府委員(水野錬太郎君):この罰則の趣意は、偽作を為したるものを主として罰して、売り弘めた者、その他偽作の所為を幇助した者は、軽罪の従犯に当たる、それですから、偽作を為した者と売り出した者と一緒にして同一の罪として罰するというのはどうも刑法の方から申しても、穏やかでない。……
38条39条は全く性質が違っている。38条は、著作権のある場合、39条は、全く著作権の消えた場合で、38条と39条は性質が違い、罰金に多少をつけた。(筆者注、水野錬太郎は、法案35条(旧法37条となる)の趣意が、1、偽作を為した者を主として罰し、 2、売り弘めた者、偽作を幇助した者を従犯として罰すると述べているが、38条(旧法40条)について、同様に考え、1、著作者を詐称した者を主として罰し、 2、著作者名を詐称した文書等を発行した者を従として、或いは共に罰するという趣意はなかったのであろうか、提案され、旧法となった条文では「発行した者」である (現行著作権法121条も「頒布した者」である。)
菊池大麓君:人の名義を騙って著作物を発行しておいて、50円以上500円以下の罰金を払うだけでその書物は依然と発売することができる。それでは、不都合である。私は、41条に修正を加え、36条37条38条乃至39条の罪を犯した者は、やはり著作物を没収することにした方がよろしかろうと思う。
政府委員(水野錬太郎君):36条以下の罪を犯した者については、やはり没収の刑を設けるという御趣意のようであるが、没収までもする必要はない。例えば、38条のような場合は、人の氏名を騙って著作物を発行したのであるから、民事の訴訟を起こしてその氏名を取り除いてもらうという訴えを起こされるのです。又、その事が公になれば、あすこに掲げてあることは全く真正の著作物でないということに裁判の結果明になることもあろう。39条でもその通り著作者の意を害してやった者は全くあれは犯罪にあたることであろう、即ち改竄したものであるということが世の中に明になるに従って、それを買ったものは欺されるということはあるまい。36条37条の場合でも従来の著作物はその出所を明示しなければならぬと言うことになっている、出所を明示しないで3版4版行うことは、この罰則でできない。で、なるべく、没収の範囲は狭くしておく方がよろしかろう。
山脇玄と水野錬太郎の問で、次の問答があった。ここで、注目されるのは、水野錬太郎は、「著作者の名を騙るということ」と「著作権を侵害する」ことを同じと見ていることで、山脇はこれに反対する。校閲をしていないのに、無断で、校閲たれそれと(有名な先生が)名前を無断で使われた場合も這入るかとの質問もあった。水野錬太郎は否定した。
山脇玄君:私はこの38条を誤解していて政府委員の答弁で分かったが、38条は私が詰まらぬ著作物を作ってそれに有名な人の名を載せるものという考えでありましたが、政府委員の考えでは、版権のあるものに持って行って外の人の名をつける、こういう筒条であるから重くしなければならぬ、こういうことで至極尤もな考えであるが、……作物ヲ発行シタル」の上に「原」の字でもつけてはどうか。
政府委員(水野錬太郎君):ただいまのは、一番最初に仰った場合も含みます。例えば、あなたが著した書物に人の名を書いたのも含みます。両方含みます。そうしてあなたがそう書けば、著作権を得るのであるからやはり他人の著作氏名を書くので……
山脇玄君:その場合であれば39条の場合より軽かろうと思います。所が自分が詰まらぬものを拵えて他の有名な人の著述に持って行って何か他のものをくっつけて書けば、重いことになりませうが、私の書いたことが入るならその場合だけは軽くなければなるまい。
政府委員(水野錬太郎君):ちょっと、高くなりました理由を述べておきます。初めはこれほど高くはしなかったが、是はどうしても35条の偽作と同じ罰でなければならぬというので、こういう事になりました。著作者の名を騙るということは、やはり著作権を侵したと同じ事で、あの人は立派な学者であるといってその人の名を騙って書物を出すということは、恰も贋の書物を拵えたのと同じ事であるから偽作の中に入れて、35条と権衡を得なければいけまいというので初めの案は少なかったが後に高くしたので、全く是は一つの偽作だという主意で重くしたのであります。
山脇玄君:どうもそこが場合が違うと思います。詰まらぬ著述をして高名な人の名を附けるのは偽作とは違います。ほんの、人の名を騙ったというのですから……
副委員長(加藤弘之君):著述にはそんなことがないようだが、校閲というのに顧みもせずで、誰先生の校閲と書いて出した本がある、この頃はそうないが元は随分あった。その人に話もしないで校閲と書いて出すのがいる。校閲というものは綿密にして責任を有たなければならぬのにその先生に話しもせずにおいて、誰先生の校閲といって出すのが居る。こういうのは真の偽作と同じような罪になろうと思います。そうしてみると随分重いことになりましょう。校閲などは是に這入らぬのでしょうか。
政府委員(水野錬太郎君):校閲のことは這入りませぬ。あれは刑法の方の罪でここには這入りませぬ。
明治32(1899)年2月3日、午前10時45分開会。貴族院特別委員会。
山脇玄君:38条について。38条の罰がどうもすこし、この35条と39条との罰に比較して権衡を得て居ないのでないか。38条の罰をちょうど35条と39条の中途をとるということに定めたら如何であろうかと思います。38条の自分の著作物に外の者の氏名を用いれば無論純粋の偽造で、35条に這入るだろうと思います。その他の場合を是が称するものでありますからどうも35条と同じに致すということは如何なるものでございましょうか。是は、少しこの罰に35条と39条の権衡を取って差を付けたら如何のものか。
菊池大麓君:人の物をそっくり盗んでそうしてそれへ、自分名を附けて出したのはこの条には這入らないで偽作の方へ這入るというお考えですな。
山脇玄君:そう考えますが。
菊池大麓君:そうすると、この条の規定するのは自分で何か拵えて、それを外の人の名前で著作したとか申せばその人の名前を騙る方に……
山脇玄君:そうです。あるいは自分は別なことで、甲の著作へ持って行って又外の人の名を附けて出すというような場合になろうと思います。人の著作物に自分の名を出せば純粋の偽造になりますから35条に当たります。
政府委員(水野錬太郎君):そうなるだろうと思います。唯今、山脇さんのお話で、差を付けることは差し支えないと思う。人の名を騙るのは、よほど、重く罰せねばならぬということで、50円以上500円以下と致しましたが、丁度この罪は35条と39条の間に這入るものである、その趣意で下げるというでございますれば、宜しかろうと思います。
山脇玄君:それで、30円以上300円以下ということになっては……。35条39条の間のものを拵えるという修正を提出致します。
政府委員(水野錬太郎君):これだけのことを申し上げておきたい。随分その有名な学者の名を騙って自分の著作物 などに入れるということなどは、殆どその偽作をしたと同じようなものであるので、随分そういうものは強く取締らぬと矢張り是は著作者を保護する趣意になるのであるから偽作はしないけれども殆ど名を取ったというだけでも偽作に尋ぐものであるから、重くする必要があるというので、35条と同じ罰にしたらどういうものか、この条の趣意はそういう趣意でしたものでございます。
小幡篤次郎君:私は山脇さんにご同意いたしましょう。
(中略)
山脇玄君:……偽作をすると申しましでもそれを広げるということがなければよいと思う。唯、自分の用に供する為に偽作をしても罪にせぬでもよい。其物を広げるから偽作の罪というものが出てくるのだから情を知って偽作物を発売するとか頒布するとかいうのが著作権の重もなる罰であろうと思います。そこであるから、情を知って偽作物を発売するとか頒布するとかいうのが著作権の重なる罰であろうと思います。そこで、情を知って偽作物を発売し又は頒布したるものというのは実に偽作の罪が一番重いだろうと思います。唯、人の物を偽作したからといって売りさえしなければ、広げさえしなければ、偽作にもなりはしないから、是は35条の一箇条になって偽作の罪になってしまうから、それと此の38条とはよほど差が有りはせぬかと思う。唯、発売の都合で、加藤さんなら加藤さんの著作に他の者の名を附けるというだけでありますから、人の著作を自分の名を附けるから35条に該るのでございますから、少し差がそこにあるだろうと思います。何か本屋が売る都合に依って甲の人の著作物に乙の人の名を附けて出すということですから、どうも35条の偽作というのよりは幾分かその情が違うかと思います。
副委員長(加藤弘之君):言葉でいうとそうだけれども、情を知って偽作物を発売し頒布するというのも、或る者の企で偽作物を拵えるというのは随分重いのがあるかも知れぬ。それ程でなく、実際偽作物を拵えたやつの義理合で、仕様がなくするというやうな極く軽いのもある。それは片方の38条の方は、矢張り人の名をその著者の人でない名を付けるのだから余程その心術は悪いのですから、是も其為に売れるのですから、売れそうな人の著者の名を付けるから、大変に売れるということである。どうも殊に依ったら、35条の中に、情を知っての方に重いヤツもあり、情を知ってどころじゃない、それが扇動してやらせることもあるだらうけれども、亦、義理合に搦まされてやるというやうな軽いやつもある、それだから罰も大変に懸隔は付いて居るけれども、38条のやつを重いやつで人の名前を、他の名前を付けると云うのは、即ち売らうというのを目途にしてやるのだから、さうすると随分軽重が難しいように考える。偽作物を為したというのにも、或いは、極く騙されて為すやつもあるだろうけれどもそれは憐れむべきやつもあるだろうが、併し、それは、発売し頒布もするから矢張り是が目途を為し来るのだからどうもそういうような随分難しいと思います。
菊池大麓君:此節は、自分で書かないで自分の名を借して(貸して)書かせるというような殊が随分あるようでございますが、そういうものは38条に該当するのですか。自分で承諾したら38条には該当しないですか。
山脇玄君:それは承諾したら該当せぬでしょう。
副委員長(加藤弘之君):政府委員はどちらですか。
残念なことに、水野は、この間「自分の名前の使用を承諾した場合の代作は、違法か合法か」には、答えず、次のように答弁した。
政府委員(水野錬太郎君):是は初めは低くかったけれども法典調査会などで調査する時分に先程加藤さんの御話の通りの趣意で矢張り重くする方が宜しいと云ふので重くなって来たのでございますから非常な差し支えがなくば35条と同じようにしておく方が大変都合がよいと思いますから非常に権衡を得ないと云ふやうなことでもあるまいと思います、若し別段強い必要がなければ、矢張り50円以上500円以下にして頂きたいと思います。
菊池大麓君:さうゆう罰則と云ふものは、大概宜しく50円と云ふと其次は500円と云ふやうですが30円以上500円以下と云ふやうなことは法律の体裁上をかしいでございますか。
政府委員(水野錬太郎君):それは出来ぬことはありますまいと思います。併し刑法は重にこう云ふことになって居ります故に30円以上500円以下といっても出来ないことはなかろうと思いますが刑法の体裁に倣ったのです。
菊池大麓君:私は30円以上500円以下と云ふ折衷法を出しますが別に強いて主張する訳ではありませぬ。
副委員長(加藤弘之君):今の折衷説で30円以上500円以下と云ふことがでました。
山脇玄君:30円で宜しゅうございましょう。下の緩みを付けるのに……
副委員長(加藤弘之君):それではさう決めましょう。
こうして、原案の38条は、次の様な条文になった。
「第40条 著作者ニ非サル者ノ氏名称号ヲ附シテ著作物ヲ発行シタル者ハ30円以上500円以下ノ罰金ニ処ス」
また、原案のとおり非親告罪であり、
「本章ニ規定シタル罪ハ被害者ノ告訴ヲ待テ其ノ罪ヲ論ス但シ第38条ノ場合ニ於テ著作者ノ死亡シタルトキ並第40条乃至42条ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス」
38条が40条になった理由は、審議により原案になかった2つの条文「27条 著作権者ノ不明ナル著作物ニシテ未タ発行又ハ興行セサルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ発行又ハ興行スルコトヲ得」、「第32条 練習用ノ為ニ著作シタル問題ノ解答書ヲ発行スル者ハ偽作者ト看做ス」が新たに這入って、以下、35条が37条にと順に条文が変った。
注l、
『内務省「著作権法理由書」』(明治38(1905)年)(『明治史資料集成』明治期篇第10巻「新聞法制・著作権」1995年・ゆまに書房)
注2、
違警罪とは、明治13(1880)年から明治41年まで施行された旧刑法での軽い犯罪に対する罪である。旧刑法は、フランス刑法にならい犯罪を重罪、軽罪、違警罪に分け、違警罪の主刑は拘留と科料であった。また、違警罪即決例(明治18年太政官布告31号)は、昭和22年まで施行されたが、これにより警察署長による即決裁判が行えた。違警罪は、今日の軽犯罪法に当たるが、戦前は思想犯にも適用された。