大家重夫の世情考察

反日暴動反対論文

第2章 反日暴動について - 前編 -

4.2008年(平成20年)(反仏)

 3月にチベットで騒乱が発生した。8月に北京オリンピックが予定されていたが、世界中で、聖火リレーの妨害行為など、対中抗議活動が起こり、特にフランスが、中国に圧力を加えた、と中国に思われた。フランス系スーパー・カルフールが、ダライ・ラマ14世に資金を提供しているというデマが流布し、店舗の打ち壊しが行われた。これも「官製」の暴動のようである。

5.2010年(平成22年)(反日)

 2010年5月、広東省のホンダ系部品工場でストが起きた。

 6月、菅直人(民主党)が日本の総理になった。
2010年9月7日、尖閣諸島漁船衝突問題が起こった。

 日本は、中国人船長を逮捕し、仙谷由人内閣官房長官は、沖縄の検察官に任せた。
中国政府は、デモ参加を自粛させた。遠藤誉「ネット大国中国」岩波新書(2011年)137頁。
9月23日、建設会社フジタの日本人社員4人が河北省石家荘で、中国当局によりスパイ容疑で拘束された。
9月25日 日本政府は、中国人船長を釈放した。
この事件は、日本国民を反中国に向かわせた。

 日本の世論で、「中国は信用できない」とする者71%、「中国は信用できる」とする者7%と圧倒的に中国反対という結果が出た。渋谷で10月2日、「尖閣は日本領、中国は出て行け」のデモと集会は、日本では殆ど報道されず、ウオールストリートジャーナルなど世界のマスコミが取り上げ、中国でも報ぜられた(宮崎正弘「中国大嘘つき国家の犯罪」(文芸社文庫・2014年)57~62頁)。

 フジタの社員を人質にとっていたが、最後の1人を釈放した。

 2010年10月8日、劉暁波にノーベル平和賞が授与、と報道された。

 世界のマスコミが「人権」で、中国を批判し始めた。
宮崎正弘「中国大嘘つき国家の犯罪」(文芸社文庫・2014年)により私は知ったのだが、劉暁波のノーベル賞受賞で、街では祝賀ムードになっていた。台湾、香港でもノーベル賞で、祝賀会が開かれた。
政府は、劉暁破の友人たちの祝賀会を中止させ、劉夫人のストックホルム行きを許さず、監視下に置いた。
ところが、毛沢東の秘書を務め、党組織部長だった李鋭、人民日報元社長胡績偉、新華社元副社長李普、国防大学元研究員辛子陵、元中央党学校教授の杜光らが発起人となって、言論の自由を呼びかけた。ネットで、1万人の署名が集まった。
中国共産党中枢部に劇的な亀裂が入った。
宮崎正弘によれば、こうである。
「そこで党内左派と上海派は、窮地を脱するためにもう一芝居を打つ。毛沢東は言ったではないか。『国内矛盾を対外矛盾に転化せよ』と。そう、終息しかけた『反日カード』をもう一度使うことにしたのである。」(宮崎前掲71頁)。

 10月16日、大規模の反日デモが行われた。四川省の成都、陜西省の西安、河南省の鄭州など内陸部で行われた。成都市で、イトーヨーカ堂が破壊された。(小林史憲28頁)。伊勢丹の店舗も襲撃された。(関岡英之「中国を拒否できない日本」(ちくま新書・2011年)30頁)。

 10月17日、四川省綿陽市における反日デモは、事実上の反政府デモだったらしい。
日本車をひっくり返し、味千ラーメン店は破壊された。

 宮崎正弘によれば、日本の大使館のある北京、領事館のある上海、瀋陽、広州、重慶、青島、香港、出張駐在官事務所のある大連を避けている。いずれも、日本領事館の内、駐在日本人の少ない都市ばかりという(前掲72頁)。胡錦濤をはじめ、共産党政治局常務委員会の上層部は、ノーベル賞騒ぎのガス抜きのため、中国青年に反日暴動を許すという反日カードを切ったのである。


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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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