大家重夫の世情考察

中国政治事情

第3部 汚職、権力闘争で失脚した人々 - 前編 -

1,中国では、汚職の摘発と権力闘争

 中国からの報道のうち汚職、権力濫用に関する事件が多い。賄賂の金額が、日本と違って、巨額であることも驚かされる。
 2012年発足の習近平政権からほぼ2年経過した。就任当初、利益調整型の温和なリーダー、むしろ「弱いリーダー」と見られていた。「最後の将軍」といった批評もあった。
 ところが、習近平は、金融のプロ王岐山を中央紀律検査委員会書記に就け、積極的に汚職幹部の取締を行った。
 2014年には周永康・前共産党中央政治局常務委員、徐才厚・前共産党中央軍事委員会副主席、令計画・前共産党中央弁公庁主任という大物、江沢民、胡錦濤の側近といわれた人々摘発した。
 習近平は、「強いリーダー」であったのだ。中国では、今、共産党、政府の高官たちは、震え上がっており、一方、中国国民は喝采を送っているようである。
 習近平、王岐山は、死を覚悟して、「反腐敗」の実現を実行しているのであろうか。
 加茂具樹「習近平政権の『反腐敗』とは何か」は、「最高指導部のメンバーは、その誰もが党の威信低下に強い危機感を抱いていた。民衆の信頼を回復し、一党支配体制を維持し、強化するためには、痛みを伴う大胆な改革は避けられない。そして、抵抗に打ち勝つには強力なリーダーシップと素早い決断と執行が不可欠だ。こうした共通認識の下、彼らは合意のうえで習に権力を集中させる道を選んだのでないか。」と推理する(中央公論2015年3月号66頁)。
 私は、あとの5人の常務委員が渋々、習近平、王岐山の行為を追認していること、習近平にとって、汚職摘発しか国内行政で打つ手がない、またこれが習近平の大きな武器になり、江沢民、胡錦濤の発言権を奪い、習近平が毛沢東のような、鄧小平のような存在になるために行っている大きな賭に思われる。

×

 汚職や権力の濫用を行った人々に対して、死刑、終身刑と処罰し、財産没収をし、また党籍剥奪をすることが多い。共産党の行う制裁と、国家機関としての司法機関の行う制裁と二つあるようである。
 司法権は独立していない。野口東秀・元産経新聞中国特派員は、中国の裁判における判決も党の指示で決められること、裁判官だけでなく裁判官を管理する直属の書記も懐柔する必要があること、裁判官、弁護士も弁護士免許の供与剥奪を通じて間接支配していること、民事事件だが、騙された日本人ビジネスマンから依頼された野口氏は、元検察官の知人である中国人に150万円支払って解決した実例を述べている(「中国真の権力エリート」新潮社・2012年)。
 ここでは、新聞雑誌書籍に報道された、政治家官僚の主要な汚職事件を掲げてみる。

LINEで送る
[`evernote` not found]

【要望】
内容等に誤りがあれば、下記までご連絡下さるようお願い致します。
E-mail:webmaster@lait.jp
ページトップへ

中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

シリア難民とインドシナ難民 - インドシナ難民受入事業の思い出のイメージ

シリア難民とインドシナ難民 - インドシナ難民受入事業の思い出 【2,800円+税】

ウルトラマンと著作権 - 海外利用権・円谷プロ・ソムポート・ユーエム社のイメージ

ウルトラマンと著作権 - 海外利用権・円谷プロ・ソムポート・ユーエム社 【4,500円+税】

インターネット判例要約集 - 附・日本著作権法の概要と最近の判例のイメージ

インターネット判例要約集 - 附・日本著作権法の概要と最近の判例 【2,800円+税】