大家重夫の世情考察

中国政治事情

第4章 毛沢東の時代ー中華人民共和国の成立 - 前編 - ≪第1部 中華人民共和国小史≫

 日本の広島に原爆を投下したのは8月6日、3日後の8月9日、ソ連軍が満州に侵攻、大略奪をし、日本人をシベリアへ連行し、強制労働に従事させた。
 あと、満州で、中国国民党と中国共産党の争闘が続く。
アメリカは、蒋介石の国民党を応援したが、毛沢東の共産党に敗北した。
1949年10月1日、中華人民共和国成立を正式宣言した。
1949年12月、国民党は、日本国の領土であった台湾へ逃げこみ、台湾で政権を打ち立てた。蒋介石は、1945年頃、アメリカから見限られ、日本軍旧軍人たちによる「軍事顧問団白団(ばいだん)」を台湾に随行させ、台湾の軍編成に寄与させた(渡辺望前掲書102頁)。
 毛沢東が中国大陸を征服した。遠藤誉「毛沢東ー日本軍と共謀した男」(新潮新書・2015年)は、中華人民共和国の成立まで、毛沢東がいかなる行動をとったか、を新たに発見された資料、ご自身の体験と共に述べている。
1950年6月、ソ連のスターリンは、金日成の南進計画を了承、「スターリンのお墨付きを貰った金日成は、ただちに毛沢東の中国共産党との話し合いをすすめ、兵員3万人をもらいうける交渉にはいる」(注14
 北朝鮮は、南朝鮮へ侵攻し、朝鮮戦争が始まった。中国も参戦し、引き分けの格好で、37度線がひかれた。デイヴィッド・ハルバースタム著山田耕介・山田侑平訳「ザ・コールデスト・ウインター朝鮮戦争 上・下」(文藝春秋・2009年)は、米国の内情を主として描くが、朝鮮戦争の指揮をした彭徳懐は、リッジウエイと同じく「戦士の中の戦士」と称賛する(下巻244頁以下)。彭徳懐は、朝鮮戦争休戦から6年後の1959年夏の廬山会議で、失脚し、文化大革命で、紅衛兵で殴打され、1974年死亡した。
 朝鮮戦争が起きたことは、日本にとって幸いであった。日本は、兵站基地になり、特需といわれた物資の供給は、急激な経済発展の契機となった。
 アメリカは、大戦終結直後からの日本弱体化政策を変更し、アメリカの陣営に組み入れる政策に転換した。1949年11月、アメリカ国務省は、対日講和条約案起草準備中と発表し、1951年9月8日、対日平和条約、日米安全保障条約が調印された。
1952年4月28日、対日平和・安保両条約が発効、台湾の国民党政府と平和条約を調印した。
 日高義樹はこう書いている。「1949年、共産国家として成立した中国は、基本的にはアメリカを敵としていなかった。両国の関係ははっきりしないものの、むしろ味方どうしと言っていいほどであった。1952年に日本が独立するにあたって、日本の外交および軍事をアメリカが手放さなかったのは、新しく成立したひ弱い中国を日本が軍事力や政治力で再び制圧することを恐れたからであった。アメリカ政府の外交記録第6巻「極東と太平洋1950年」の1140頁にはこのことが詳しく述べられている」(注15
 アメリカは、日本が独立しても、アメリカが断交している中国と交際し、通商することを許さず、代わりに、アメリカの市場を日本に提供した。朝鮮戦争の特需を契機に、軽武装の日本は、経済発展に集中した。アメリカは、日本の自衛隊を国連軍の一員として組み込み、日本の軍事力を使いたいと思ったであろうが、吉田茂は軍備強化に反対し、日本国民もこれを支持した。
 朝鮮戦争が起こらなかったら、日本は、アメリカによって4つの島に閉じ込められ、窮乏生活を強いられ、あるいは、革命が起こったかも知れない。
 朝鮮戦争が起こった時、首相が吉田茂でなく、他の者で、まだ相当数健在の旧軍人達を使い再軍備を行い、朝鮮戦争に参加していれば、約70年にわたるアメリカ軍の沖縄駐留はなかったかもしれない。

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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