大家重夫の世情考察

中国政治事情

第1章 江沢民、胡錦濤、習近平 ≪第1部 中華人民共和国小史≫

 1989年6月23日、13期全中総会で、天安門事件の不手際の責任を理由に趙紫陽を解任し、江沢民を総書記に据える人事がきまった。鄧小平が上海の党委員会書記江沢民を2階級特進させて抜擢したのである。石平・黄文雄によれば、(注2)鄧小平は、後継者のはずだった胡耀邦と趙紫陽を自ら切らざるを得なくなって、権力が縮小しており保守派の陳雲の推す江沢民を受け容れたという。
 鄧小平は、天安門事件のような騒乱が今後も起こる事態に備え、突発事件処理に長けた指導者が必要だ、として40代後半の胡錦濤を江沢民の次の最高指導者に指名した。これについて、石平は、鄧小平が改革派であるから、団派の胡錦濤も同じ改革派であるとして選んだ、という(注3
鄧小平は、1997年に死亡した。江沢民の任期が来て、2002年、平穏に、胡錦濤が党総書記に就任した。江沢民がなかなか実権を手放さなかったが、鄧小平没後5年、鄧小平の指名を江沢民が尊重したことを考えて見ると、江沢民は、毛沢東、鄧小平のような型破りの人間ではなかった。
 胡錦濤の次の習近平は、鄧小平抜きの初のトップ人事で、江沢民が決めるのか、胡錦濤がきめるのか、世界のチャイナ・ウオッチャーが注目していた。
 2011年7月、党中央の中央党学校で、各地の党幹部500人による政治局員、常務委員を選ぶ模擬選挙が行われたと加藤隆則・竹内誠一郎は報じている。(注4)このとき、薄熙来はまだ失脚してなく、常務委員会入りを狙っている有力候補だった。
 薄熙来は、2012年2月16日、政治局常務委員会で処分された。薄熙来は、英国人ヘイウッド殺人事件、側近だった王立軍を強く叱責、このため裏切られ、王の亡命未遂・機密海外漏洩未遂事件、公金横領公権力不正使用による不正蓄財、海外送金事件によって、起訴され、裁判の宣告を受け失脚した。多くの説はそう解説する。(注5
 ただ、崔虎敏は、薄熙来と王立軍は、依然、信頼関係があり、「不仲説」を流し、薄熙来が、密書、機密情報を託して米領事館に向かわせたとし、真相は異なるとする。
 また、北京大学に留学し、著名人で、中国高官に知人も多いと思われる加藤嘉一は、この通説を信じてなく、「口実」であり、権力闘争であるという(注6

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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