大家重夫の世情考察

中国政治事情

第1部 中華人民共和国小史 - はじめに

(1)習近平は、毛沢東、鄧小平クラスか

 2012年、習近平が中華人民共和国の最高指導者に就いた。
歴代最高指導者の中で、毛沢東、鄧小平は別格で、華国鋒、胡耀邦、趙紫陽、江沢民、胡錦濤といった総書記は、この2人には及ばない、というのが大方の評価、定説である。
 2015年、習近平は、毛沢東、鄧小平クラスかも知れない、という声が出はじめた。ところが、2016年、習近平は、反腐敗で、、習近平への個人崇拝キャンペーンで国民の支持を得てきたが、摘発のやりすぎ、経済の不振により、中央、地方の官僚、軍の反発を招いている。党、政府において、孤立しているのでないか、盟友王岐山との関係が悪化しているのでないか、という声も出始めた。
 習近平をめぐって、まだ評価は決まっていない。

(2)習近平は、トップ就任当初から強かったか。

 習近平が胡錦濤の次のトップになると報道されたとき、日本では、習近平は、太子党でひよわく、江沢民派、胡錦濤派との妥協人事で、「最後の将軍」ではないか、という予測が有力だった。
 矢板明夫は、「習近平-共産中国最弱の帝王」(文藝春秋・2012年3月20日)という題名で、「状況の変化によって習近平が最強の指導者になるチャンスがないとは限らない。」と留保するものの、習近平は、歴代の中で「実力は最も弱い」としていた。
 中央公論2015年3月号において、加茂具樹氏は「筆者を含む中国政治の研究者の多くは、彼が短期間で『強いリーダー』になるのは難しいと予想していた。だがその後の2年間の政治的パフォーマンスを振り返ると、我々は見立てを外したと言わざる得ない。習は『強いリーダー』としてのイメージの形成に成功している。」(64頁)と述べるに至った。
 もっとも中央公論2015年10月号において遠藤誉氏は、「習近平ほどスタート時から強大な力を持った国家主席はいない」という。上記遠藤誉論文は、「腐敗撲滅運動は絶対に政治的権力闘争などではない」という。これには、疑問がある。
 私は、習近平は、腐敗撲滅に名を借りて、反対派を粛清している。権力闘争をしている、このことによって、「強いリーダー」になったと思っている。ただ、最近、習近平の腐敗撲滅という名目の粛清は、「やり過ぎ」である、という声が出始めた。 
 また、この反対派の粛清は、王岐山によってなされているのであり、実は王岐山が実権をにぎっているのでないか、王岐山自身が、習近平に敬意を払っていないのでないか、と石平は指摘している。
2016年2月、習近平が「党・政府が管轄するメデイアは党を代弁せよ」と忠誠を命じたところ、実業家、北京市政協委員の任志強が、SNS「微博」において「人民政府は、いつ党の政府になったのか」と疑問を呈し、福島香織は、任志強の背後には親友王岐山がいるとして、習近平と王岐山の亀裂を示唆している(サピオ2016年6月号16頁)。

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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