大家重夫の世情考察

10,カリキュラムと

 西尾珪子氏は、「3か月の日本語教育」と題して、「国際交流」28号28頁に、日本語教育を担当され、その行われた詳細を述べておられる。少し述べてみる。
両センターの教師団は、日本語教師養成講座を出ていることを最低限の資格として、姫路が27名ほど、大和が33名ほどで、何度も教師連絡会で教授法の統一をはかった。
姫路のセンターは、「ジャパニーズ・フォー・ビギナーズ」を日本文字に書き直した教材を選び、大和では、海外技術者研修調査会発行の「日本語の基礎」を使用した。日本語教育における基礎語彙は、850語、プラス地域的な必要に応じて、150語、合計1000語とする、文字は、ひらかな、カタカナを含め、漢字は提出漢字400とした。
双方の教科書を綿密に分析すると、「ジャパニーズ・フォー・ビギナーズ」と「日本語の基礎」の中の漢字は、272字共通した。双方別々の文字、人名地域的な、地名漢字を含めて400の漢字を選んだ。基本文型については、双方の教科書を検討して50文型、その例文を出し合って、了解ごとにしたという。
 文化庁のホームページに平成15年度「日本語教育研究協議会 第5分科会」報告がある。
西尾珪子(社団法人国際日本語普及協会理事長)、鈴木雅子(国際教育センター日本語主任講師)、内藤真知子(社団法人国際日本語普及協会)の3人が、「インドシナ難民の日本語教育から地域の日本語支援へとレールが敷かれていったこと」について語った記録である。
安逹幸子氏は、大和定住センターと品川のセンター、併せて3年間教えらたれたのち、国際交流基金の派遣で、タイ国のチュラルコン大学とタマサート大学で学生に日本語を教えた。難民を対象とした時は、1クラスが少なかった(多くて15名、10名程度だったと思う-大家)、タイの大学では、1クラス40名である。このこともあるが、インドシナ難民の方が、学習意欲高く、「がっちり基礎をたたきこめた」と、「我田引水」的?感想を1984年9月5日発行の難民事業本部部内報「IR月報」36号に寄せている。

注1
ベ平連については、鶴見俊輔・上坂冬子「対論・異色昭和史」(PHP新書・2009年)184頁以下。アメリカのCIAがベ平連に目をつけたことについては、1909頁。

注2
昭和43年(1968年)12月10日、白バイ警官に変装した男が府中で、3億円を強奪した事件があるが、当時、早大学生が、黒人兵を立川の公団住宅で匿っていて、緊張したとの記録がある(関谷滋・坂元良江編「となりに脱走兵がいた時代」(思想の科学社・1998年)452頁(島田昭博執筆)。
 わたくしは、著作権法に関する事件として駒込観音事件(東京地裁平成21年5月28日判決、知財高裁平成22年3月25日判決、最高裁平成22年12月7日決定)を読んだ。これは、先代の頃、制作された観音像が「おそろしい顔」であるとの声に、人々に親しまれるものにしたいとして、島田住職は、独断で、「穏やかな顔」にすげ替えた。これについて、制作した仏師の三男、彫刻家西山三郎が光源寺の住職を訴えた事件である。訴えられた光源寺の住職は、島田昭博氏で、約40年前のベ平連の早大生で、黒人脱走兵を立川で匿っていた人であった。

注3
鶴見俊輔(1922-2015)は、後藤新平(1857-1929)の孫である。後藤新平は、安場保和(1835-1899)(肥後細川藩、横井小楠門下、福岡県令、男爵)の次女和子と結婚し、その子愛子は、鶴見祐輔と結婚、鶴見和子、俊輔が生まれた。安場の長女静子は、佐野彪太と結婚した。佐野彪太の弟が佐野学(1892-1953)(日本共産党中央委員長)、彪太の息子が佐野碩(1905-1966)(演出家・作詞家・社会主義運動家)で、平野義太郎は、安場の孫娘を妻とした。駄場裕司「後藤新平をめぐる権力構造の研究」(南窓社・2007年)208頁。
鶴見俊輔は、アメリカに留学したが、ベトナム戦争のアメリカに批判的であった。祖父後藤新平は、親ソ的な政治家であり、近親者である佐野学、佐野碩、平野義太郎は、共産党員で反米であった。その反米親ソの気分がベ平連を作ったと思う。

注4
当時、中東から石油を運び、日本から自動車などを搭載して中東へ行き来する日本船には、日本人船員10人から15人程度は乗船していた。日本人船員は、NHKの朝のテレビドラマ、紅白歌合戦などを、日本のテレビを視聴するのが楽しみであった。香港、シンガポールなどに寄港の時、NHK、民間放送の人気番組を複製したビデオを差し入れてもらっていた。テレビ番組は、「映画の著作物」として作ってなく、出演者、原作者は、1回(又は再放送分)の謝金しか得ていない。テレビ番組には、いろんな権利が詰まっており、これを複製して、4,5人でも観覧することは、著作権侵害であり、著作隣接権侵害である。日本船主協会と権利者団体-日本音楽著作権協会(JASRAC)、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)、シナリオ作家協会、日本文藝著作権保護同盟、日本放送作家協会、日本レコード協会ーが、話し合いをし、1,30分物1本459円、30分越える毎に5割増しする、2,海上の使用は、1本750円、30分越える毎に5割増し、ビデオ化する場所を一箇所のスタジオに決めることなどを決めた。この著作権・著作隣接権の料金を、権利者団体が集め、俳優などの芸団協が62%、JASRACが18%、日本レコード協会が1%、文藝19%(日本文藝著作権保護同盟、日本放送作家協会、シナリオ作家協会が使用割合に応じて配分)するという仕組みを作った。私は、この会合に著作権課課長補佐として、立会人、保証人といった役割でこの交渉に立ち会った。このことについて大家重夫「最近の著作権紛争とその課題」(法曹親和会発行「親和」(1982年11月205頁)。


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著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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