LADY GAGA事件
2015年10月23日
「LADY GAGA」の文字を標準文字で、「レコード、インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル…」を指定商品とする本願商標は、商標登録が拒絶査定され、不服不成立の審決が出されたが、この審決が維持された事例である。
知財高裁平成25年12月17日判決(平成25年(行ケ)第10158号)
原告は、エイト・マイ・ハート¥イン・コーポレイテッド。
被告は、特許庁長官。
原告は、「LADY GAGA」の文字を標準文字で表してなり、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第25類、第41類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成22年4月12日登録出願された商願2010ー28913号に係る商標法10条1項の規定による商標登録出願の分割として平成23年3月28日、第9類「レコード、インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル、映写フイルム、録画済みビデオデイスク及びビデオテープ」を指定商品とする本願商標について、商標登録出願をした。
特許庁は、拒絶査定をした。
原告は、これに対する不服の審判請求をした。
特許庁は、商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当するとして、不服不成立の審決をした。
原告は、知財高裁に本件審決の取消を求めた。
知財高裁第2部清水節裁判長は、「原告の請求を棄却する。」とした。
次のように判断している。
- 「LADY GAGA」は、世界的に広く知られた歌手で、「LADY GAGA」の商標に接する者は、歌手名を表示したものと容易に認識する。
- 本願商標を、その指定商品中、本件商品である「レコード、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル、録画済みビデオデスク及びビデオテープ」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品に係る収録曲を歌唱する者、又は映像に出演し歌唱している者を表示したもの、すなわち、その商品の品質(内容)を表示したものと認識するから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。したがって、本願商標は、商標法の3条1項3号に該当する。
- 本願商標を、本件商品である「レコード、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル、録画済みビデオデスク及びビデオテープ」のうち、LADY GAGA が歌唱しない品質(内容)の商品に使用した場合、LADY GAGA が歌唱しているとの誤解を与える可能性があり、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。従って、商標法4条1項16号に該当する。
- 歌手名が現実に自他商品の識別標識として機能している、との原告の主張に対し、取引される商品によっては、人の名称やグループ名が当該商品に表示された場合に出所表示機能を有することは否定できないが、本件商品については、商品に表示された人の名称やグループ名を、取引者・需要者が商品の品質(内容)とまず、認識する。そして、表示された人の名称やグループ名が、著名な歌手名・音楽グループ名である場合には、取引者・需要者は、これを商品の品質(内容)とのみ認識し、それとは別に、当該商品の出所を表示したものと理解することは通常困難であると認められる。