インターネット上にイスラム教徒の個人情報が流出したことにつき、原告イスラム教徒の個人情報を警察当局が収集・保管・利用したことは憲法20条等に違反しないが、警視庁の情報管理上の注意義務違反があったとされ、しかし警察庁の監査・監督上の責任は否定され、国家賠償法上、モロッコ、イラン、アルジェリア、チュニジアとの間に相互保証があり、被告東京都は、原告1人へ220万円、原告16人へそれぞれ550万円が支払うよう命じた事例である。
原告は、いずれもイスラム教徒で、日本国籍4名、チュニジア共和国国籍6名、アルジェリア民主人民共和国国籍3名、コロッコ人王国国籍3名、イラン・イスラム共和国国籍1名である。
平成22年10月28日頃、インターネット上に、114点のデータがファイル交換ソフト・ウイニーを通じて、掲出された。このデータは、同年11月25日時点で、20を超える国と地域の1万台以上のパソコンにダウンロードされた。データには、履歴書のような書面、モスクへの出入り状況、イスラム教徒との交友関係などがある。
原告等は、
と主張し、東京都(警視庁)、国(警察庁、国家公安員会)に対し、国家賠償法1条1項等に基づき、連帯してそれぞれ1100万円及び遅延損害金の支払いを求めた。
[東京地裁]
民事第41部の始関正光裁判長は、次のように判断した。
[参考文献]
ルーク・ハーデイング著、三木俊哉訳「スノーデンファイル」日経BP社・2014年。
グレン・グリーンウオルド著、田口俊樹・濱野大道・武藤陽生訳「暴露」新潮社・2014年。
上杉隆「ウイキリークス以後の日本」光文社新書・2011年。
柏原竜一「中国の情報機関」祥伝社新書・2013年。