「インターネット異性紹介業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年6月13日法律第83号)」は、インターネット異性紹介事業は、都道府県公安員会に届出をしないと行えないと規定し、届出をしないで行った被告人がこの法律違反で起訴され、被告人は無罪を主張したが50万円の罰金に処せられ、罰則を伴う届出制度が合憲とされた事例である。
平成15年に「インターネット異性紹介業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」が公布された。この法律は、インターネット異性紹介事業を利用して、児童(18才未満の者)を性交等の相手方となるように誘引する行為を禁止し、インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資することを目的とした法律である。
インターネット異性紹介事業を行う者は、都道府県公安員会に届け出ることを定め(7条)、広告宣伝で、児童は、当該インターネット異性紹介事業を利用してなならない、旨を明示しなければならないこと(10条)、サイト利用者が児童でないことの確認し(11条)、禁止誘引行為が行われたことを知った時は、公衆が閲覧できないようにする措置をとらねばならない(12条)こと等が定められている。
また、都道府県公安委員会に無届けでインターネット異性紹介事業を行った者(7条1項)は、「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」(32条1号)と規定する。
被告人は、無届けで、出会い系サイトを運営したとして、起訴された。
被告人は、その運営するサイトは、趣味のサイトであること、届出制度は憲法の表現の自由、集会結社の自由を制約し、不当であると主張した。
東京地裁は、本件届出制度は、憲法に違反しないとして、罰金50万円を命じた。
東京高裁も控訴を棄却した。
最高裁(山浦善樹裁判長、櫻井龍子、金築誠志、横田尤孝、白木勇裁判官)は、「本件届出制度は、上記の正当な立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものというべきであって、憲法21条1項に違反するものではない。本法2条2号による『インターネット異性紹介事業』の定義は不明確とはいえないから、不明確であることによる憲法21条1項違反の主張は前提を欠く」として、裁判官全員一致で、上告を棄却した。
「参考文献」曽我部真裕「ジュリスト別冊平成26年度重要判例解説」18頁。