ドメイン名を日本レジストリーサービス(JPRS)に登録している原告が、そのドメイン名を被告(シテイバンク銀行株式会社)へ移転せよ、との裁定がでたたため、被告に対し、本件各商標に基づく本件ドメイン名の使用差止請求権の不存在確認を求め、訴えが却下された事件である。
原告は、日本ユナイテッド・システムズ株式会社である。
被告は、シテイバンク銀行株式会社で、米国法人Citibank,N.A.のグループ会社で、米国シテイバンクの外国銀行のとしての日本における業務を代理している。
原告は、ドメイン名「CITIBANK,JP」(以下、本件ドメイン名)を株式会社日本レジストリーサービス(JRPS)へ登録している。(平成14年4月までは(社)日本ネットワークインフォメーションサービスセンターJPNICが登録事務を行っていた。)
JPNICは、平成12年7月、「JPドメイン名紛争処理方針」を定め、これにより、被告は、平成23年10月28日、日本知的財産仲裁センターに対し、原告を相手方として、本件ドメイン名の登録を被告に移転せよとの裁定を求めて、本件紛争処理方針に基づく申立を行った。日本知的財産仲裁センター紛争処理パネルは、「本件ドメイン名の登録を被告に移転せよ」とする裁定をした。
ところで、米国法人Citibank N,A.は、は、商標登録第1447343号など5件の商標権を有している。
原告は、被告に対し、本件各商標に基づく本件ドメイン名の使用差止請求権の不存在確認を求めて訴えた。
東京地裁民事29部は、仮にこの訴訟で、被告に本件各商標の商標法上の使用差止請求権が存在しないことを確認しても、被告が本件各商標について米国シテイバンクから許諾を得ているという事実関係が、本件ドメイン名の登録の移転を基礎づけ得るものである以上、原告の本件ドメイン名の登録に関するJPRSとの間の契約関係に基づく地位についての不安、危険は除去されない、商標権に基づくドメイン名の使用差止という紛争は存在しない。確認の利益は認められない。本件訴えは、確認の利益なく不適法で、却下する、とした。