多くの有料メール交換サイトを運営する会社Yが、サクラ(回し者)を使い、利用者をサイトに誘い込み、サイト利用Xから代金名目で、2031万3000円を詐取したとして、有料メール交換サイトの運営会社の不法行為責任が認められ、Xへ2234万4300円を支払うよう命ぜられた事例である。
被告Y会社は、インターネット上で多数の有料メール交換サイト運営している。
原告Xは、被告Y会社が運営する出会い系サイトに入り、会員登録をした。Xは、その後、指示に従えば、数百万円ないし数千万円の多額の金員を供与する、面談や実験対象になってくれれば、相当の対価を支払うとのサクラからのメールに応じ、Xは、面談に赴くが会えず、その都度、サイトの利用代金がかさみ、合計2031万3000円になった。
Xは、Yが、サクラを用いて、利用代金の名目で、多額の金員を支払わせ、金員を騙し取ったして、利用代金を損害とする損害賠償請求訴訟を提起した。
1審横浜地裁は、Yの不法行為の日時、内容等、Xの誤信内容、錯誤に基づくYへの送金ないしポイント購入の時期及び金額について特定がなく、サクラとYの関係等が主張上明確でないとして、請求を棄却した。Xは、控訴した。
2審東京高裁瀧澤泉裁判長は、「被控訴人は、本件各サイトにおいて、サクラを使用して、かつサクラであることを秘して、資金援助や連絡先交換又は待合せ等、役務ないし利益の提供をする意思もないのに、それがあるように虚偽のメールを送信させて、それらが一定程度実現する可能性があると控訴人を誤信させ、控訴人に役務ないし利益の取得のため、送受信等を多数回繰り返させたり、上記資金援助等の目的達成のためには虚偽の暗号送信等の手続きが必要であるとの虚偽の事実を申し向けてその旨控訴人を誤信させ、利用料金名下に多額の金員を支払わせた詐欺に該当するものというべきである。被控訴人は、控訴人に対する不法行為責任を免れることはできない。」
利用代金2031万3000円と弁護士費用203万1300円(上記損害の1割)の合計2234万4300円を損害とし、原判決を取り消して、控訴人の請求(2審で拡張した分を含む)を全部認容した。