「PLUS」発信者情報事件

2015年11月6日

被告のレンタルサーバーに記録されたウエブページによって、商標権侵害及び不正競争防止法の営業上の利益を侵害された原告が、プロバイダ責任制限法に基づき、被告が保有する発信者情報の開示を求め、認容された事件である。

東京地裁平成24年6月28日判決(平成23年(ワ)第37057号)

原告は、オフイス家具、オフイスインテリア用品、文具、事務用品等の製造、販売等を行う株式会社で、「プラス株式会社」という。
被告は、インターネットを利用した情報提供、ドメイン取得サービス、レンタルサーバーの提供等を行う株式会社paperboy&co.で、インターネット上で不特定多数の者に対する送信をすることを目的とするレンタルサーバーを保有している。

平成23年8月迄に、被告のレンタルサーバーに、「+人材派遣プラスPLUS」「人材派遣プラス+」および「Plus」なる標章が記載されたウエブページの情報が記録された。

原告は、このウエブページの記録は、

  1. 原告の商標権侵害である。
  2. 不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為である。
  3. 不正競争防止法2条1項2号の不正競争行為である、

と主張し、発信者情報の情報開示を求めた。

東京地裁民事47部高野輝久裁判長は、2)の主張を採り、原告の「PLUS」の表示(商品等表示)は、需要者の間に広く認識されていたと認め、被告が、ウエブページ上でその営業を表示するものとして、本件各標章を使用する行為は、不正競争防止法2条1項1号に該当し、原告の営業と混同を生じさせるもので、原告の営業上の利益が侵害された、とし、原告が、損害賠償請求権を行使するため、発信者情報が必要で、その開示を受けるべき正当な理由がある、とし、被告は原告へ、「別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ」と命じた。

この事件では、原告は、被告へ開示を求めなくても、人材派遣会社の住所代表者等を把握できたのではないだろうか。