公明党都議肖像写真事件

2015年11月18日

公明党都会議員のホームページから、肖像写真の電子データヲダウンロードして、ビラやブログ等に写真を掲載た行為に対して、著作権侵害および著作者人格権侵害が認められ、ビラの頒布禁止、廃棄、送信可能化等の差止と損害賠償78万5000円の損害賠償が認められた事例である。

東京地裁平成23年2月9日判決(平成21年(ワ)第25767号、反訴平成21年(ワ)第36771号)

原告Xは、職業カメラマンで、公明党都議の肖像写真(本件写真)を撮影した者である。
被告Yは、「A調査会」ないし「A1調査会」の名称で、政治活動を行っている者である。

被告Yは、公明党都議Bのウエブサイトから本件写真の電子データをダウンロードし、これを利用して、別紙写真(カラーからモノクロ、縦横の比率を変更)を作成し、

  1. ビラに掲載し、通行人に頒布し、
  2. 自ら管理するインターネット上のウエブサイトにアップロードし、自己のブログに掲載し、
  3. また別紙写真を街宣車の車体上部に設置された看板に掲載した。

この被告行為を知った原告は、著作権(複製権、譲渡権、公衆送信権)侵害、著作者人格権(同一性保持権)侵害であるとして、著作権法112条に基づき、

  1. 本件写真掲載のビラ頒布の差止と廃棄、
  2. 写真をインターネット上のウエブサイトで送信可能化することの差止め、

を求め、不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害賠償金400万円(著作権(財産権)侵害200万円、著作者人格権侵害による精神的損害150万円、弁護士費用50万円)及び遅延金の支払を求めた。

東京地裁民事40部の岡本岳裁判長は、損害賠償金78万5000円(財産権侵害58万5000円、著作者人格権侵害10万円、弁護士費用10万円)とし、これ以外の原告の請求をすべて認容した。

裁判所は、写真の著作物性について、「職業写真家である原告の思想、感情が創作的に表現された著作権法上の著作物であることは明白である。」としている。被告は、訴訟代理人をつけず争い、「引用」であると主張したが認められなかった。
被告は、原告による刑事告訴及び本訴提起が不法行為であるとして不法行為による損害賠償請求権に基づき、刑事告訴による慰謝料100万円及び本訴提起による逸失利益500万円の合計600万円の内金100万円の支払いを求める反訴を提起したが、棄却された。