登録商標の使用をしているかどうかが争われ、最高裁が「指定役務についての本件商標の使用をしていない」と判決した事例。
日本の商標法は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用又は通常使用権者が、指定商品又は指定役務について、登録している登録商標を使用していないとき、何人もその登録商標を取り消すよう、特許庁に審判を請求することができる(50条1項)。ゲームソフトの企画、制作、販売等を業とするX(株式会社アリカ)は、平成13年1月22日、本件商標登録出願をし、平成14年3月1日、設定登録を受けた。
Y(株式会社ARICA)は、貸別荘や貸しビルなど不動産業者のようである。
Yは、平成19年3月15日、本件商標につき、商標法50条1項に基づき、指定役務のうち第35類に属する6役務についての不使用を理由に、それらの役務に係る商標登録の取消の審判を請求し、同年4月4日その旨の予告登録がなされた。
特許庁は、平成20年9月26日、本件商標の「指定役務中、第35類『広告、経営の診断及び指導、市場調査、商品の販売に関する情報の提供、ホテルの事業の管理、広告用具の貸与』については、その登録を取り消す」旨の審決をした。
理由は、原告の提出した「会社案内」の「インターネットのホームページ」は、いずれも自社の商品ないし自社の開発した商品の広告にすぎない、本件商標を「商品の販売に関する情報の提供」の役務について使用していると認められない、であった。
Xは、この審決の取消を求め訴えを起こした。審決に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄である(商標法63条)。知的財産高等裁判所法(平成16年6月18日法律第119号)により、東京高等裁判所内に知的財産高等裁判所が置かれ、ここで、知的財産権に関する訴訟が取り扱われる。
[知財高裁]
Xは自社のウエブサイトで、自社が開発したゲームソフトを紹介するとともに、本件各商品を販売するA社、B社の各ウエブサイトを閲覧し、同ウエブサイトから利用者が本件商品が購入できるなど、「本件商標が使用されている」と主張した。
知財高裁平成21年3月24日判決は、本件各行為により、前記予告登録前3年以内に日本国内で本件指定役務についての「本件商標の使用をしていた」と判断し、Xが勝訴した。
これに不服のYは、最高裁へ上告した。
[最高裁]
最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長、那須弘平、田原睦夫、岡部喜代子、寺田逸郎裁判官)は、「原判決を破棄する。被上告人の請求を棄却する。」との判決を下した。
理由は、
とした。
[参考文献]西村雅子・判例評論647号17頁(判時2166号163頁)