ウエブサイトの電子掲示板に名誉毀損、信用毀損の投稿があるのに、速やかに削除しなかったサイトの運営管理者に対する不法行為に基づく損害賠償と謝罪文掲載要求が否定された事例である。
原告X1は、英語指導助手の人材派遣業務等を営む会社で、X2は、その代表者である。
被告Yは、インターネットを利用した各種情報提供サービス等を行う会社で、英語総合情報サイト「GaijinPot.com」というフォーラムを運営している。
X1X2は、Yに対して、民法709条の不法行為にあたるとして、X1会社へは、信用の無形損害、弁護士費用の損害賠償と本件サイトへの謝罪文の掲載、X2に対しては、慰藉料と弁護士費用の損害賠償を請求し、訴えた。
X1X2は、サイトに、Xらへの誹謗中傷の書き込みがなされたが、
と主張した。
[東京地裁判決]
1審は、
として、Xらの請求をいずれも棄却した。
[東京高裁判決]
東京高裁は、原審判決を支持して、控訴を棄却した。Xらに有利な書き込みを行う者を閉め出す意図がYにあったとは認められず、Yが削除要請があったときに要請者と対話の機会を設けるような運営を行っていることは不合理、不当でなく、Xらの削除要請を広告掲載の交換条件として、事実上削除処理を拒絶したことは、認められないとした。