電子掲示板書込名誉毀損事件

2015年11月27日

ネット掲示板に原告配偶者氏名・住所等を書いて、プライバシー侵害とされた事例である。

東京地裁平成21年1月21日判決(判タ1296号235頁)

原告X1は、インターネット上で消費者問題に関する電子掲示板「悪徳商法?マニアックス」を管理、運営している者である。原告X2は、X1の妻である。
被告Yは、インターネット上のトラブル解決を業とすると自称する者である。

インターネット上の掲示板「2ちゃんねる」に、平成19年1月24日、「悪マニ管理人、X1が企業恐喝?」と題するスレッドに、原告2の氏名・住所、原告等の親族の氏名、親族の経営する会社の本支店の所在地・電話番号が書き込まれた。この書き込みは、掲示板管理人により、平成19年5月8日削除された。
原告X等は、発信者情報開示訴訟をNTTコミュニケーションズ株式会社に提訴し、平成20年7月4日判決で勝訴、開示を受けた。
Xらは、Yに対し、Xらのプライバシーを侵害する書き込みを行い、3か月余の間、第三者が閲覧可能な状況に置いたこと、プライバシー侵害であると主張して、不法行為に基づく損害賠償をX1に対し550万円、X2に対し、440万円及び、それぞれ平成23年3月24日判決19年1月24日から支払済みまで、年5分の金員を支払うよう求めた。

東京地裁民事32部高部眞規子裁判長は、次の判決を下した。

  1. 被告Yは、原告X1に対し、12万円及びこれに対する平成23年3月24日判決19年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
  2. 被告Yは、原告X2に対し、12万円及びこれに対する平成23年3月24日判決19年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
  3. 原告らのその余の請求をいずれも棄却する
  4. (省略)
  5. (省略)
発信者情報の開示を受けた後、当該人物を訴え、500万円の請求に12万円の損害賠償金であった。約3月間強、ネット上でプライバシー権侵害された代償の相場は、この程度であろうか。