東京国税局がそのホームページに、原告株式会社のホームページの記載は、事実に反する部分があるとの注意文書を掲載し、公表したことは公務員による適切な職務行為であり、名誉毀損、信用毀損による不法行為の成立が否定された事例である。
原告X1(株式会社ワット)は、平成11年8月設立の株式会社で、
を目的としている。
原告X2は、X1の代表取締役である。
X2は、償却資産すべてを対象とした全企業向けのサービスを展開するビジネスモデル(ワットシステム)を考案し、X1において、この事業を取り扱うことを考えた。
X1X2は、この事業が、法人税法、所得税法でどのように取り扱われるか、東京国税局に行き、課税第1部審理課を訪問したり、文書で照会したりした。
X1は、そのホームページに、東京国税局が事前照会に対する回答により、ワットシステムの税務面での効果を承認しているかのような内容の記載を行った。
この記載を見て、東京国税局は、X1又はX2へ、X1のホームページの内容の削除又は訂正を要求するなどし、また、東京国税局のホームページにおいて、「誤解を招くホームページにご注意ください」との見出しで、X1X2の実名を挙げて、X1のホームページの記載中に事実に反する部分があるとの内容の注意文書を掲載し、公表した。
平成17年、X1及びX2は、この公表がXらの名誉・信用を毀損する不法行為であるとし、これにより無形の損害を被たとして損害賠償を求め訴えた。
東京地裁民事48部(水野邦夫裁判長)は、
として、X1及びX2の請求を棄却した。