ジェイフォン事件

2016年1月5日

著名な営業表示含むドメイン名の使用を不正競争防止法2条1項2号に基づいて差し止め損害賠償も認めた事例である。

東京地裁平成13年4月24日判決(平成12年(ワ)第3545号、判時1755号43頁)

原告X(ジェイフォン東日本株式会社)は、携帯電話による通信サービスを主たる目的とする会社で、グループ企業8社とともに、平成9年2月頃から、「J-PHONE」というサービス名称を使用している。
被告Y(株式会社大行通商)は、水産物、海産物及び食品等の輸入販売を主たる目的とする株式会社である。

Yは、平成9年8月29日、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)から、「j-phone.co.jp」のドメイン名(以下、本件ドメイン名)の割り当てを受け、「http://www.j-phone.co.jp」のアドレスにおいて、ウエブサイトを開設し、そこにおいて、「J-PHONE」「ジェイフォン」「J-フォン」を横書きにした表示(以下、本件表示)をし、レッスンビデオ、携帯電話機、酵母食品等の販売を行っていた。

Xは、Yに対して、

  1. 本件ドメイン名の使用の禁止、
  2. インターネット上のアドレスにおいて開設するウエブサイトから、本件表示を削除すること、及び
  3. 損害賠償950万円

を求めて訴えた。根拠は、不正競争防止法2条1項1号、2号である。

[東京地裁]
民事46部の三村量一裁判長は、次のように判断した。

  1. 被告Yの本件ドメイン名の使用は、不正競争防止法2条1項1号、2号にいう「商品等表示」の使用に該当する。
  2. 「J-PHONE」本件サービス名称は、同法2条1項2号にいう「著名な商品等表示」である。
  3. Yに対し、Xが本件ドメイン名及び本件表示の使用の差し止め、本件ウエブサイトからの本件表示の抹消を求める請求は理由がある。
  4. 被告Yは、本件ウエブサイト内で、いわゆる大人の玩具販売広告、特定企業の誹謗中傷する文章等の表示をし、原告Xの信用毀損行為を故意に行った。
    その損害額は200万円、弁護士費用100万円である。

[判決主文]

  1. 被告は、その営業に関し、別紙目録記載の表示及び「j-phone.co.jp」のドメイン名を使用してはならない。
  2. 被告は、インターネット上のアドレス「http://www.j-phone.co.jp」において開設するウエブサイトから、別紙目録記載の表示を抹消せよ。
  3. 被告は原告に対し、300万円及びこれに対する平成12年4月24日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(4,5,6)省略。

ドメインは、先着順である。著名な会社などは、自他ともに認める自社がそのドメイン名を持ちたいのに出遅れた、そこで、訴えるなど紛争は多い。
ジャックス事件(名古屋高裁金沢支部平成13年9月10日判決、富山地裁平成12年12月6日判決)参照。