書籍の要約文を掲載するウエブサイトは、許されるか。
平成8年頃、Y(有限会社コメットハンター、本社福井市)は、インターネット・プロバイダAとサーバースペース提供に関する契約を締結し、Yのホームページを開設、そこに、ビジネス書の要約文を紹介するサイト「速読本舗」を置いた。
Yは、毎月4冊のビジネス書を選び、その要約文を作成し、会費を支払った個人、法人の会員にメールサービスによって、書籍要約文を送信した。また、毎月、一冊の書籍要約文をホームページ上に無料で公開し、新規にこのサービスに加入する会員を募集した。
Yは、要約した書籍の著者には、全く無断で、報酬も支払わず、連絡もしなかった。
江口克彦、竹村健一、田原総一朗ら9名の著名な評論家、文化人、経営者である書籍の著者X1~X9らが、原告となって、Yに対し、複製権、翻案権、公衆送信権、送信可能化権及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害するものとして、その差止めと損害賠償を請求して訴えた。 X1らは、インターネット・プロバイダAへも著作権侵害で訴えた。
[東京地裁判決]
被告Yは、答弁書、準備書面を提出せず、口頭弁論期日にも出頭しなかった。民事29部飯村敏明裁判長は、Yが請求原因事実を認め、自白(民事訴訟法159条、179条)したものとみなし、原告の請求をすべて認容したものとした。
[判決主文]
なお、Xらは、Aの行為も著作権侵害であると主張、Aに対し差止及び損害賠償を求めたが、XA間で、裁判上の和解が成立した(和解条項は判時1768号118頁に掲載。)
[参考文献]
山本順一・「速読本舗事件」「サイバー法判例解説」(商事法務・2003年)26頁。