電話帳に記載されている実名、電話番号等をパソコン通信に無断で公開したことがプライバシーの侵害にあたるとして、20万2380円の損害賠償が命ぜられた事例である。
原告Xは、個人で診療所を開業している眼科医で、ニフテイ(株)の会員である。
被告Yも、ニフテイ(株)の会員である。
XYともに、ニフテイの運営する掲示板を利用していた。
Yは、平成9年5月17日未明、Xの氏名、職業、Xが開設する診療所の住所及び電話番号等の個人情報をニフテイの掲示板に掲載した。
Xの氏名、職業等の個人情報は、医師会名簿には掲載されていても、ネットの参加者には公開されていなかった。Xは、個人情報をネットの掲示板システムに掲載されて、自己のプライバシーを侵害され、その結果、原告Xは、数名の者から無言電話のいやがらせの電話を受け、眼科の診療を妨害され、信用を毀損され、被害を被ったとして、Yに対し、不法行為に基づく損害賠償181万0360円(内訳、1,営業損害30万7980円、2,治療費2380円、信用毀損による損害50万円、4,慰藉料100万円)を請求した。
竹中省吾裁判長は、Yの本件表示は、プライバシーを侵害に当たるとして、20万2380円(治療費2380円、慰藉料20万円)および遅延損害金を支払うようYへ命じた。
[参考文献]
新保史生「サイバー法判例解説」(岡村久道編・商事法務・2003年)92頁。
牧野二郎「ニフテイ・プライバシー事件」(岡村久道編「インターネット訴訟2000」(ソフトバンク・パブリッシング・2000年)222頁)