苦情申告書ブログ掲載事件

2015年10月28日

原告弁護士と被告行政書士2人との間に紛争がある中で、被告行政書士らが、それぞれのウエブサイトに原告の苦情申告書、原告の懲戒請求に対する原告答弁書を掲載したことは、被告らが著作物である申告書、答弁書の著作権(公衆送信権及び公表権)侵害であるとし、使用の差止を認めた事件である。

東京地裁平成25年6月28日判決(平成24年(ワ)第13494号)

原告Xは、東京都千代田区岩本町に「神田のカメさん法律事務所」を開業する弁護士。
被告Y1は、清瀬市内で「かなめ行政書士事務所」を開設する行政書士で、インターネット上、「かなめ行政書士事務所」のタイトルでブログを公開している。
被告Y2は、インターネット上、「NEWS RAGTAG」のタイトルで、ブログを公開している。

Xは、

  1. Y1に対して、原告文書1(XがY1にあてた通知書で、Y1がインターネットで公開する記事の削除を求める等を記載)及び別紙URL目録記載のURLを掲載してはならない。
  2. Y2は、原告文書1、原告文書2(Xが東京行政書士会長に提出の苦情申告書)、原告文書3(Y1が東京弁護士会に提出のXの懲戒請求に対するXの答弁書、懲戒請求棄却を求めるXの理由を述べた文書)を、ブログに掲載してはならない。
  3. Y1、Y2は、それぞれ150万円及び支払済みまでの年5分の金員を支払う

よう求めた。

なお、Y1は、原告文書1を掲載し、原告文書3のpdfファイルを、アップロードし、pdfファイルをアップロードしたURLをY1ブログ1の記事内に表示、記事を閲覧した者が、URLから、pdfを閲覧できる仕組みにした。
Y2は、原告文書1ないし3を、それぞれのブログ内の記事において掲載した。
東京地裁民事29部大須賀滋裁判長は、原告文書1の著作物性を否定した。原告文書2及び3の著作物性は肯定した。Y1の、これらのpdfファイル掲載行為、被告Y2の原告文書2及び3の公衆送信権侵害、公表権侵害を認めた。URLの掲載は、Xの絞首送信権侵害を引き起こす行為であり、れらを掲載し、使用する行為の差止を認めた。慰謝料請求は、精神的苦痛が生じたと認められないとした。

「判決主文」

  1. 被告Y1は、別紙ウエブサイト目録記載1のウエブサイトにおいて、別紙掲載記事目録記載4及び5の各記事に含まれている別紙URL目録記載のURLを掲載してはならない。
  2. 被告Y2は、別紙ウエブサイト目録記載2のウエブサイトにおいて、別紙掲載記事目録3の記事に含まれている別紙原告文書目録記載2の文書及び別紙掲載記事目録記載6の記事に含まれている別紙原告文書目録記載3の文書を掲載して使用してはならない。
  3. 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
  4. (訴訟費用、省略する)
2013-13と同じ当事者間の事件である。