芸能人発信者情報開示請求事件

2015年10月19日

芸能活動を行いブログを開設している芸能人が、インターネット上のあるブログにより、著作権侵害され、名誉感情が侵害されたとして、誰が投稿したか、NTTコミュニケーション株式会社に発信者情報の開示を請求した事件である。

東京地裁平成26年1月27日判決(平成25年(ワ)第18124号)

原告は、芸能活動を行っている者で、インターネット上にブログを開設している。そのブログに平成23年4月、「やっぱりハッピーでえ~(※^0^※)」と題する記事(原告記事1)を、平成24年3月、「バーチャルで遊んで下さい!!訂正、追記」と題する記事(原告記事2)を掲載した。
 株式会社サイバーエージェントが提供するブログサービスを利用して、インターネット上に「嘘を暴く快感!嘘を見逃すな!!」というブログに平成25年1月20日付け投稿の記事(以下、本件記事)、原告の顔写真が掲載されており、そこに原告の記事の一部が転載され、「妄想が激しく、嘘つき」「数々の嘘を暴き」というサブタイトルもあった。
 原告は、いわゆる経由プロバイダである被告NTTコミュニケーションズが、本件記事の発信者情報を保有しているとして、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」第4条第1項に基づき、開示を求めて訴えた。

[東京地裁民事29部判決]
大須賀滋裁判長は、次のように判断し、「被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。」と判決した。

  1. 原告の文字によって記載された部分は、いずれも原告の著作物であると認め、原告は、作成者として著作権(複製権、公衆送信権)を有する。
  2. 被告は、「引用」を主張するが、本件記事1全文や本件記事2のうちの24行を引用する必要性があるとは認められないとして、著作権法32条1項の引用を認めなかった。
  3. 「本件記事」を本件ブログ上に投稿する行為は、原告著作権(複製権、公衆送信権)を侵害するものと認めた。
  4. 原告が本件記事発信者に対し、不法行為(著作権侵害)に基づく損害賠償請求権を行使するためには、被告の保有する本件発信者情報の開示を受けることが必要である。
芸能人も攻撃され、また、攻撃者に対して、芸能人が敢然と戦う、のである。