ツイッターに投稿された記事によって名誉が毀損されたと主張する者から、IPアドレス保有者に対する発信者情報の開示が認められた事件である。
原告Xは、氏名不詳の者からツイッターに投稿された記事によって、名誉が毀損された、もしくは名誉感情が侵害されたとして、ツイッターの運営会社から開示されたIPアドレスの保有者である被告YソフトバンクBB(株)に対して、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、発信者情報の開示を求めた事件である。
原告は、ツイッターの運営会社に、誰が自分の名誉を毀損させたか特定すべく、IPアドレスを開示するよう仮処分の申立をした。ツイッター運営会社は、これに応じた。そこで、IPアドレスから、ソフトバンクBB(株)を経由してログインされていることが分かった。
原告Xは、被告Yに対し、IPアドレスを、本件名誉侵害した記事を掲載された日時頃に使用した者に関する情報で、「1,氏名又は、名称、2,住所、3,電子メールアドレス」
(以下、「本件発信者情報」という)の開示を求めて訴えた。
Yは、開示を拒絶した。
1審東京地裁は、開示を命じた。Yが控訴した。Yは、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項の開示請求の対象となる発信者情報には、「本件発信者情報」は含まれない、法4条1項の開示請求の対象となる発信者情報は、侵害情報の流通があった場合における当該侵害情報の発信そのものについての発信者情報である、その余の発信者情報は含まれない、と主張した。
東京高裁民事12部は、
とし、「本件発信者情報は、当該侵害情報の発信者の特定に資する情報であり、法4条1項の開示請求の対象である『当該権利の侵害に係る発信者情報』に当たると認める」とし、開示を命じた。