塗装屋口コミランキング事件

2015年10月8日

ウエブページにおいて塗装業者の口コミランキングの記載があり、原告について、不正競争防止法2条1項14号もしくは13号の不正競争が行われ、また、原告への名誉権の侵害があったとして、プロバイダ責任制限法に基づき、ウエブページのサーバーを保有し管理する会社へ、発信者情報の開示を求めた原告塗装業者の開示請求が認められた事例である

東京地裁平成26年10月15日判決(平成26年(ワ)第11026号)

原告((株)PGSホーム)は、住宅ペイント、一般住宅・マンション・ビルのトータルリフォーム等を業とする株式会社である。
被告(さくらインターネット株式会社)は、本件サーバーを保有・管理する法人である。

この事件での本件ウエブページは、「みんなのおすすめ、塗装屋さん」というもので、「口コミランキング」というウエブページへのリンクがある。
「口コミランキング」のウエブページには、「口コミランキング一覧」として、塗装業者のランキングが10位まで記載されているが、原告の名はない。
本件ウエブページには、「掲載業者一覧」のウエブページにリンクしており、平成26年4月30日当時、原告の名前はあったが、平成26年6月5日時点で削除されていた。
原告は、口コミランキングの記載により、不正競争防止法2条1項14号もしくは13号の不正競争が行われ、または原告の名誉権が侵害されたとして、被告に対し、サーバーの契約者の発信者情報をプロバイダ責任制限法に基づいて、開示請求をした。

裁判では、次の点で争われた。

  1. 原告に対する口コミによる名誉権侵害について。
    裁判所は、口コミ1について、「一般読者の普通の注意と読み方を基準にすると、原告が、実際の壁面の2倍の面積で(それに単価を乗じた不当に高額の)見積書を作成し、足場代等を無料にすると言って(不当に高額波つもりから割り引いたように見せかけ)不当な営業行為を行っているとの事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させるものである。」とし、口コミ2についても、名誉権侵害を認めた。
    これにより、プロバイダ責任制限法4条1項1号の「侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき」の要件を充足するとした。
  2. 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無について。
    裁判所は、「本件口コミが本件サイトから既に削除されているとしても」「本件口コミによって過去に原告が被った損害の賠償請求をするため、原告に本件利用者に係る発信者情報の開示を受けるべき正当な理由が認められる」と判断した。
○○ランキングは、読者、視聴者が好むテーマであるが、劣位に置かれた方は面白くなく、問題を生じやすい。比較広告は、公正取引委員会の問題でもある。