インターネット接続サービスの加入者の個人情報が外部に流出したことにつき、サービス業者に不正アクセス防止につき過失があるとして、会員のサービス業者に対する慰藉料請求が認容された事例である。
原告は、甲事件3名、乙事件2名で、いずれも「Yahoo!BB」という非対称加入者線伝送(ADSL)方式等を用いたインターネット接続サービス及びこれに付随するメールサーバーのレンタル等の総合電気通信サービス(以下、本件サービス)の会員である。
被告Y1は、BBテクノロジー株式会社である。
被告Y2は、ヤフー株式会社である。
Y1Y2は、「Yahoo!BB」の統一名称を用いて、電気通信事業法にいう電気通信事業にあたる本件サービスを顧客に提供している。
原告等は、いずれも平成16年1月までに、被告らそれぞれと本件サービスに係る契約を締結し、本件サービスに入会した。
Bは、Y1へ業務委託先から派遣され、顧客データベースのメンテナンスやY1会社のサーバー群の管理業務に従事していたが、Bの知人Cと共に、顧客データベースに含まれる顧客情報を外部に転送し、Cのハードデスクに保存して不正に取得、この不正取得された顧客情報はCを通じて恐喝の実行犯であるDに渡った。
原告等は、Y1及びY2が個人情報の適切な管理を怠った過失等により、自己の情報をコントロールする権利を侵害されたとして、被告らは、甲事件原告らにそれぞれ各自10万円、被告らは乙事件原告等にそれぞれ、各自10万円支払うよう求めて訴訟を提起した。
[大阪地裁]
民事11部山下郁夫裁判長は、次のように判断した。