住宅ローン金利比較表事件

2015年11月19日

被告である(財)住宅金融普及協会のホームページ中の「住宅ローン商品 金利情報」が、原告ウエブサイトの「図表」あるいは「編集著作物」、「データベースの著作物」の著作権侵害であると主張し、被告の当該ウエブページの閉鎖と706万4000円の損害賠償を求めたが、請求を棄却された事例である。

東京地裁平成22年12月21日判決(平成22年(ワ)第12322号)

原告は、平成20年4月から「銀行商品コム」という名称のウエブサイトに住宅ローン金利の比較表を掲載し、ここに図表部分がある(これを「本件図表」という)。図表の金利情報は、随時更新されている。
被告は、(財)住宅金融協会で、平成20年頃から、「住まいのポータルサイト」という名のウエブサイトを運営し、ここに「住宅ローン商品 金利情報」を掲載している。金利情報は随時更新されている。

原告は、

  1. 本件図表は、「図表の著作物」(著作権法10条1項6号)である。
  2. 本件図表は、「編集著作物」(同法12条1項)である。
  3. 本件図表は、「データベース」の著作物である、

と主張し、被告により、複製権及び公衆送信権が侵害されたとして、706万4000円(バナー広告料収入相当額の損害570万円、有料会員会員料金相当額4月分136万4000円)の損害賠償と当該ウエブページの閉鎖を求めた。

被告は、本件図表の著作物性を争い、また、被告は独自に被告図表を作成し、原告の本件図表に依拠していない、59箇所の相違点がある、本件図表は「一般的にありふれたもの」と主張した。東京地裁民事第46部大鷹一郎裁判長は、「本件図表が『図形の著作物』『編集著作物』又は『データベースの著作物』であることを認めることはできない。」として原告の請求を棄却した。

原告には、訴訟代理人がついていない。