各レコードについて送信可能化権をもつレコード会社が、氏名不詳者により、被告が提供するインターネット接続サービスを経由して、自動的に送信しうる状態におかれたため、氏名不詳者に対し、送信可能化権侵害で訴えるべく、被告に対しプロバイダ責任制限法4条1項に基づき、被告が保有する発信者情報の開示を求め、認容された事例である。
原告は、(株)ジェイ・ストーム、(株)ランテイス、ユニバーサルミュージック合同会社、(株)エピックレコードジャパン、(株)ポニーキャニオンの5社である。
被告(ソフトバンクBB(株))は、一般利用者に対するインターネット接続プロバイダ事業等を行う株式会社で、プロバイダ責任制限法2条3号の「特定電気通信役務提供者」に当たる。
訴外(株)クロスワープは、インターネット上の著作権侵害を継続的に監視する会社であるが、原告5社へ、Gnutellaネットワークに接続されたパソコンに保存されて、ダウンロード可能な状態に置かれた音楽ファイルを検出し、各音楽ファイルをダウンロードしたとして、その旨を各音楽ファイルごとに対応する原告らに報告した。
原告等は、「P2P FINDER」というシステムがGnutella ネットワーク上を監視して検出したIPアドレスは実験者が送信したファイル送信元のIPアドレスと完全に一致しており、このシステムによる各音楽ファイル及び各IPアドレスの検出は正確であり、氏名不詳の本件契約者は、原告等の送信可能化権を侵害している、と主張した。
被告は、ユーザーのIPアドレス、タイムスタンプ等の正確性を判断できない。本件発信者情報が本件各音楽ファイルの送信可能化権侵害者の情報であるか否か確認できない、と主張した。
東京地裁民事46部長谷川浩二裁判長は、