被告らが著作、販売、インターネット上に掲載等をした「自動車プラスチック部品メーカー分析と需要予測」が、原告が著作した「プラステック自動車部品」の著作権侵害ではないとされた事例である。
原告Xは、自動車用プラスチックの研究開発、企画、市場開発、営業及びコンサルテイングを業としてきた者で、「プラステック自動車部品」(以下、本件書籍)の著者である。
被告Yは、「自動車プラスチック部品メーカー分析と需要予測」(以下、被告書籍)の著者の1人である。
被告Y2(有限会社シーエムシー・リサーチ)は、被告書籍の発行元である。
被告Y3(株式会社シーエムシー出版)は、被告書籍の発売元である。
Xは、Y1Y2Y3らが共謀して、被告書籍を作成・販売し、被告書籍をインターネット上に掲載している行為は、原告の本件書籍に掲載されている14個の表についての著作権(複製権、譲渡権、公衆送信権)侵害及び著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害であると主張し、
[東京地裁]
民事46部の長谷川浩二裁判長は、原告Xの本件書籍の各表は、自動車に採用されているプラスチックに関する事実をごく一般的な形式に整理したものにすぎず、その表現自体は平凡かつありふれたもので、著作物性を認めることはできない、としてXの請求を棄却した。
[知財高裁]
第2部清水節裁判長は、原判決の認定判断を支持し、控訴人Xの請求は、理由がないとし、控訴を棄却した。2審において、Xは、本件書籍の各表が編集著作物であるとも主張したが、アイデアの独創性や記載事項の情報としての価値を述べたに過ぎず、著作権法上の保護対象でないとした。