スマートフォン事件

2015年10月2日

KDDIのスマートフォン「REGZA Phone IS04」は、特許権を侵害していないという判例である。

東京地裁平成27年2月27日判決(平成26年(ワ)第65号)

原告(株式会社コアアプリ)は、名称を「入力支援コンピュータプログラム、入力支援コンピュータシステム」とする特許権について、これをもつ特許権者である。
被告(KDDI株式会社)は、移動通信及び固定通信を業とする法人である。

原告は、被告に対して、「

  1. 「REGZA Phone IS04」を生産、譲渡、輸入、輸出し、又は譲渡の申出をしてはならない。
  2. 被告は、その占有に係る前記記載の製品、及び前記記載の製品に搭載されたソフトウエアのソースコードとバイナリイメージを廃棄せよ。また被告は、前記記載の製品に搭載されたソフトウエアのソースコードとバイナリイメージの製造設備を除去せよ。
  3. 被告は、原告に対し、252万円及びこれに対する平成23年10月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

」という請求の訴訟を提起した。

被告が販売するスマートフォン「REGZA Phone IS04」、またはこれにインストールされている「ホーム」と呼ばれているソフトウエア(本件ホームアプリ)が、原告の特許権をとった発明の技術的範囲内に属し、特許権を侵害している、というのである。
東京地裁民事29部の嶋末和秀裁判長は、「本件ホームアプリは、少なくとも構成要件Eを充足せず」、「本件発明1,3の技術的範囲に属しない。」「本件ホームアプリが、構成要件Eを充足しない以上、これをインストールした被告製品は、構成要件H、Iのうち」、「本特許の特許請求の範囲の請求項1,3を引用する態様を充足しているとはいえず、本件発明4,5のうちの上記態様の技術的範囲に属しない。」として、原告の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、「

  1. 原告の請求をいずれも棄却する。
  2. 訴訟費用は原告の負担とする。

」との判決を下した。

バイナリイメージには、どういう訳語がいいのだろうか。バイナリ(Binary)は、数値の表し方の1つで、0と1からなる2進法のことをいう。アプリは、Applicationの省略で、ワープロ・ソフト、表計算ソフトなど作業の目的に応じて使うソフトウエア、プログラムを指す。これに対し、OS、ドライバー、ファームウエアなどコンピュータの制御に使われるソフトウエアをシステム・ソフトウエアという。