インターネットショッピングモール「楽天市場」に出店して、商品を販売している原告が、被告Yが運営するウエブサイト上で、Yが宣伝、販売するY商品は、訴外Aにより中国で、X商品に依拠して、X商品の形態を模倣して製造され、YがA社に注文したもので、これが不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為にあたるとして、XのYへの差止請求と損害賠償が認められた事例である。
原告Xは、ウイッチーズキッチンという商号でステンドグラスのランプシェード、パイン材の家具、ドールハウスなどを製造、販売を営む者である。
被告Y(有限会社ジャパンリンク貿易)は、日用品雑貨、インテイリア用品、家具の輸入、販売等を営む会社である。
Xは、インターネットショッピングモール「楽天市場」に「ウイッチーズキッチン」において、ステンドグラスのランプシェードなどの商品を販売している。
訴外のメーカーAは、インターネットで、Xの各製品を見て、これらに依拠し、サンプルのデザインをし、被告Yにサンプル画像を添付したメールを送信して受注活動をした。
Yは、Aに各商品を発注し、A製造の各商品を購入し、輸入し、業者向けに販売した。
Xは、Yに対して、Xの販売するステンドグラスのランプシェードの形態を模倣した商品を販売していると主張し、不正競争防止法2条1項3号に当たるとして、同法3条に基づいて、被告Yが販売する商品の一部の製造、販売又は販売の差止め並びに同商品とその金型及び治具の廃棄を求めると共に、同法4条に基づき、損害賠償金1320万円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払済みまで年5分の遅延損害金の支払いを求めた。
Yは、Aから商品を購入し、輸入し、日本国内で販売したが、XやX各商品を知らず、Y商品がX商品の形態模倣であることも知らなかったと主張し、不正競争防止法19条1項5号(他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為)に該当し、不正競争防止法3条(差止請求権)、4条(損害賠償)は適用されない、と主張した。
東京地裁民事第47部の高野輝久裁判長は、次のように判断した。
被告Yは、訴外Aから被告各商品を購入し、日本に輸入するに当たって、原告X商品の形態を模倣したものかどうか調査すべき注意義務が有り、調査を行わなかったというのであるから、被告Y商品が、原告X商品の形態を模倣したものであることを知らなかったとしても、知らなかったことについて、重大な過失があるとした。
「判決主文」
Yは、損害賠償請求に関する部分の敗訴部分のみを不服として控訴した。
Xは、損害賠償請求に関する部分の敗訴部分について、付帯控訴した。
[知財高裁]冨田善範裁判長は、次のように判決した。
「判決主文」
[参考文献]小泉直樹・ジュリスト2014年4月号6頁。