「就職情報」著作物事件

2015年12月17日

ウエブサイトに掲載の就職情報は、著作物であるとされた事例。

東京地裁平成15年10月22日判決(平成15年(ワ)第3188号、判時1850号123頁)

原告(エン・ジャパン株式会社)は、株式会社シャンテリーから同社の転職情報に関する広告の作成及びウエブサイトへの送信可能化について注文を受けて、転職情報を作成し、平成15年1月7日から原告が開設するウエブサイトに掲載した。
被告(イーキャリア株式会社)も、株式会社シャンテリーから、同社の転職情報に関する広告の作成及びウエブサイトへの掲載について注文を受けて、転職情報を作成、平成15年1月8日、被告が開設するウエブサイトに掲載した。掲載時期について争いがある。

被告Yがインターネット上に開設したウエブサイトに掲載した転職情報について、これは、原告Xが創作し、そのウエブサイトに掲載した転職情報を無断で複製ないし翻案したものであるとして、Xが著作権(複製権、翻案権、公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害であると主張し、掲載行為の差止及び損害賠償5720万円を求めた。

民事29部飯村敏明裁判長は、原告作成の転職情報について、著作物性を認め、被告が、原告の著作権(複製権、翻案権、送信可能化権)を侵害したとして、

  1. 被告は、原告に対し、金65万円及び平成15年2月27日から支払済みまで年5分の金員の支払を命じ、
  2. 原告のその余の請求をいずれも棄却する、との判決を下した。
2011年(平成23年)の「データSOS事件」(原告敗訴)のように、同業者の間で、広告の文章が同じか酷似とし、著作権侵害事件になるケースが多い。本件は原告勝訴である。(ありふれた文章)でなく、著作物であるという注目すべき判例。