「ネットワークおまかせサポート」という商標登録の申請を拒絶した特許庁の審決の判断は相当であるとして、審決を維持した事例である。
原告○○商事株式会社は、「ネットワークおまかせサポート」の文字を本願商標とする商標登録を得ようとして、特許庁に申請した。この文字は、横書き、赤色で、白色で縁取りし、太い文字で、陰影を付している。指定役務を第37類とするものである(注1)。
特許庁は、平成25年5月10日、拒絶査定した。原告は、拒絶査定に対する不服の審判請求をした。
特許庁は、平成26年1月20日、本件審判の請求は成り立たないとする審決を下した。
原告は、特許庁を被告に、本件審決の取消を求め訴えた。
知財高裁第4部富田善範裁判長は、次のように述べて、本願商標は、商標法3条1項3号(注2)に該当し、登録を受けることができないとした審決は相当であるとして、審決を維持した。
すなわち、「ネットワークおまかせサポート」は、「コンピュータネットワークに関する相談や接続設定の代行など、顧客が自分で判断・選択せず、他人にまかせてサポートしてもらうサービス」といった役務の質(内容)を表示するもので、取引者、需要者によって一般に認識されるもので、「特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他役務の識別力を欠く」とし、「その役務の質を表示したものと認識・理解するにとどまる」「自他役務の識別標識の機能を果たし得ない」とし、商標法3条1項3号に該当する、とした。
(注1)
37類「事務用機械器具の修理又は保守、電子応用機械器具の修理又は保守、電話機械器具の修理又は保守、ラジオ受信機又はテレビジョン受信機の修理、電気通信機械器具(電話機械器具・ラジオ受信機及びテレビジョン受信機を除く。)の修理又は保守、民生電気機械器具の修理又は保守、電動機の修理又は保守、配電用機械器具の修理又は保守、発電機の修理又は保守」。
(注2)
商標法3条(商標登録の要件)自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
一、二、(省略)
三、その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含 む)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標