大家重夫の世情考察

電子掲示板書込名誉毀損事件

ネット掲示板に原告配偶者氏名・住所等を書いて、プライバシー侵害とされた事例である。

東京地裁平成21年1月21日判決(判タ1296号235頁)

原告X1は、インターネット上で消費者問題に関する電子掲示板「悪徳商法?マニアックス」を管理、運営している者である。原告X2は、X1の妻である。
被告Yは、インターネット上のトラブル解決を業とすると自称する者である。

インターネット上の掲示板「2ちゃんねる」に、平成19年1月24日、「悪マニ管理人、X1が企業恐喝?」と題するスレッドに、原告2の氏名・住所、原告等の親族の氏名、親族の経営する会社の本支店の所在地・電話番号が書き込まれた。この書き込みは、掲示板管理人により、平成19年5月8日削除された。
原告X等は、発信者情報開示訴訟をNTTコミュニケーションズ株式会社に提訴し、平成20年7月4日判決で勝訴、開示を受けた。
Xらは、Yに対し、Xらのプライバシーを侵害する書き込みを行い、3か月余の間、第三者が閲覧可能な状況に置いたこと、プライバシー侵害であると主張して、不法行為に基づく損害賠償をX1に対し550万円、X2に対し、440万円及び、それぞれ平成23年3月24日判決19年1月24日から支払済みまで、年5分の金員を支払うよう求めた。

東京地裁民事32部高部眞規子裁判長は、次の判決を下した。

  1. 被告Yは、原告X1に対し、12万円及びこれに対する平成23年3月24日判決19年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
  2. 被告Yは、原告X2に対し、12万円及びこれに対する平成23年3月24日判決19年1月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
  3. 原告らのその余の請求をいずれも棄却する
  4. (省略)
  5. (省略)
発信者情報の開示を受けた後、当該人物を訴え、500万円の請求に12万円の損害賠償金であった。約3月間強、ネット上でプライバシー権侵害された代償の相場は、この程度であろうか。

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中国政官データ[2016年5月版]

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2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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