大家重夫の世情考察

映像作品無断送信事件

総合格闘競技のを大会を撮影・編集した映像作品をウエブサイトにアップロードする行為が、上記映像作品に係る公衆送信権侵害であるとして1000万円の損害賠償を命じられた事例である。

東京地裁平成25年5月17日判決(判タ1395号319頁)

原告は、ズファエルエルツシー(代表者代表執行役員X)で、総合格闘競技である「Ultimate Fightting Championship 」(UFC)の大会の試合を撮影・編集した映像作品(本件各作品)の著作権を有する。
被告は、本件各作品を、ウエブサイト「ニコニコ動画」に合計84回、アップロードした。原告は、著作権(公衆送信権)を侵害したと主張し、被告へ上記著作権侵害の不法行為により原告の被った損害の一部である1000万円及び遅延損害金の支払いを求めた。

東京地裁民事29部大須賀滋裁判長は、

  1. 本件各作品のうち、原告が一部請求の根拠とした作品合計3点の著作物性を検討、これらの作品がUFC大会の試合を撮影した動画映像で、被写体の選択、被写体の撮影方法に工夫がこらされ、編集や加工により構成が 工夫され、映画の著作物で、原告が上記作品の著作権者であるとした。
  2. 被告が「ニコニコ動画」の運営のために設置管理されているサーバーコンピュータ内の記録媒体にこれらの動画のデータを記録・保存し、インターネットを利用する不特定多数の者に対し、自動公衆送信し得るようにしたことは、これら作品を送信可能化するもので、原告の公衆送信権を侵害する、とした。
  3. 損害額。配信料相当額である500円に再生回数(3作品合計3万4008回)を乗じ、更に60%を乗じた金額に相当する額を原告の損害(著作権法114条3項)とするとし、

原告の請求1000万円及び遅延損害金の支払い請求を全部認容した。

映画の著作物であるとすれば、この判決の結論は正しいと思う。

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

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2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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