Y1会社の従業員Y2が同僚の女性Xの事務机の引き出しから、ネガ・フイルムを盗みだし、焼き付けて、無断でY1会社のホームページ(以下、HP)に掲載した行為について、会社の事業の執行につきなされたものとは認められず、Y1会社の使用者責任は認められなかった事例である。
Y1会社は、電子機器等の輸出入業務を行う会社で、Y2は、情報技術部のシニアマネージャー、Xも平成7年から平成10年8月まで従業員であった。平成10年4月頃、Y2は、Y1会社内のXの事務机の引出しに保管されていたX撮影の写真のネガフイルム数葉を盗み出し、Xに無断でこれを焼付け、そのうちの3葉をY1会社のHPに掲載した。
Xは、Y2のネガフイルムの盗み出しとHPへの掲載は、不法行為に当たるとし、民法709条に基づき、また、右不法行為がY1会社の事業の執行につきなされたものであるとして、民法715条に基づき、Y1会社とY2に対し、それぞれ3000万円の慰藉料を求めて訴えた。
東京地裁地裁民事40部の都築裁判官は、