レコード送信可能化KDDI事件

2015年10月14日

原告レコード会社2社が、氏名不詳者によって、送信可能化権を有するレコードを無断複製され、被告のインターネット回線を経由して自動的に送信し得る状態に置かれたことにより、原告等の送信可能化権が侵害されたと主張し、被告に対しプロバイダ責任制限法4条1項に基づき、氏名不詳者に係る発信者情報の開示を求めた事例である。

東京地裁平成26年6月25日判決(平成26年(ワ)第3570号)

原告1は、キングレコード株式会社。
原告2は、ユニバーサルミュージック合同会社。いずれもレコードを製作し、複製し、CD等にして発売している。
被告は、一般利用者に対し、インターネット接続プロバイダ事業等を行っているKDDI株式会社である。

原告1は、実演家AKB48が歌唱する楽曲「大声ダイヤモンド」を製作し、平成20年10月22日、商業用CDの1曲目に収録、発売した。
原告2は、実演家GreeeeNが歌唱する楽曲「道」を録音したレコードを製作し12センチ音楽CDの1曲目に収録し、平成19年1月24日発売した。
 この原告1及び原告2のレコードの音は、mp3方式により圧縮され、コンピュータ内の記録媒体に記録・蔵置された上、そのコンピュータから被告のインターネットサービスを利用し、氏名不詳者等により、それぞれ、インターネットに接続され、それぞれ、平成25年7月11日及び平成25年7月23日、ファイル交換共有ソフトウエアであるGnutella交換ソフトウエアにより、インターネットに接続している不特定の他の同じソフトウエア利用者からの求めに応じて、インターネット回線を通じて、自動的に送信しうる状態にされた。

 原告1及び原告2は、被告に対し、氏名不詳者の氏名、住所、電子メールアドレスを開示せよ、と求めて訴えた。
 すなわち、原告1は、平成25年7月11日午前9時51分33秒頃、「219.108.203.208」というインターネットプロトコルアドレスを使用してインターネットに接続した者、原告2は、平成25年7月23日午前9時54分42秒頃に、「219.108.203.208」というインターネットプロトコルアドレスを使用してインターネットに接続した者の発信者情報(氏名、住所、電子メールアドレス)の開示を求めた。

東京地裁民事40部東海林保裁判長、今井弘晃、実本滋裁判官は、原告1及び原告2の請求を認容し、被告に開示せよ、訴訟費用は被告の負担とする、との判決を下した。

音源が無断で送信可能に置かれた事例である。