大家重夫の世情考察

ミクシイ事件

ソーシャル・ネットワーキング・サービス「ミクシイ」が、「アクセス制御システム、アクセス制御方法およびサーバー」という特許権に触れない、特許発明の技術的範囲に属さないという判決である。

知財高裁平成27年1月22日判決(平成26年(ネ)第10092号)
大阪地裁平成26年9月4日(平成25年(ワ)第6185号)

原告Xは、「アクセス制御システム、アクセス制御方法およびサーバ」の発明について特許をもつ特許権者である。
被告Y(株式会社ミクシイ)は、インターネットを用いたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である「ミクシイ」を運営する株式会社である。

Xは、Yがサービスで提供し始めた「一緒にいる人とつながる」との名称の機能(本件機能)は、Xの特許に係る発明の実施に該当すると主張して、特許法184条の101項に基づく補償金の一部請求として495万円及び本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償の一部請求として500万円、合計995万円及び遅延損害金の支払いを求め訴えた。
原審大阪地裁は、被告Yの本件機能を含むミクシイのコンピュータシステム(被告物件)及びコンピュータで用いられる方法(被告方法)は、原告Xの特許に係る発明の技術的範囲に属さない、として請求を棄却した。

Xは、これを不服として控訴した。

知財高裁第4部富田善範裁判長は、Xの明細書の記載事項を検討し、次のように判断し、控訴は、理由がないとして、これを棄却した。

  1. Y物件は、X発明1の構成要件Bの「所定の地理的エリア内にいる者によるコンタクト可能状態にするための同意がとれたことを確認するための確認手段」を備えているものと認められない。
  2. Y物件の構成dは、構成要件Cの「コンタクト用共有ページ」を備えるものとは認められない。
  3. Y物件は、構成要件Bの上記「確認手段」及び構成要件Cの「コンタクト用共有ページ」を構成に含む構成要件Dを充足しない。また、被告物件について、X主張の均等侵害も成立しない。従って、被告物件は本件発明1の技術的範囲に属さない。被告方法は、構成要件GないしIをいずれも充足しない。
1審が大阪地裁の判決であるが、2審は、大阪高裁でなく、東京の知的財産高等裁判所で審理、判決されている。民事訴訟法6条参照。

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

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2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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