大家重夫の世情考察

プラスチック自動車部品事件

被告らが著作、販売、インターネット上に掲載等をした「自動車プラスチック部品メーカー分析と需要予測」が、原告が著作した「プラステック自動車部品」の著作権侵害ではないとされた事例である。

知財高裁平成26年2月19日判決(平成25年(ネ)第10070号)
東京地裁平成25年7月18日判決(平成24年(ワ)第25843号)

原告Xは、自動車用プラスチックの研究開発、企画、市場開発、営業及びコンサルテイングを業としてきた者で、「プラステック自動車部品」(以下、本件書籍)の著者である。
被告Yは、「自動車プラスチック部品メーカー分析と需要予測」(以下、被告書籍)の著者の1人である。
被告Y2(有限会社シーエムシー・リサーチ)は、被告書籍の発行元である。
被告Y3(株式会社シーエムシー出版)は、被告書籍の発売元である。

Xは、Y1Y2Y3らが共謀して、被告書籍を作成・販売し、被告書籍をインターネット上に掲載している行為は、原告の本件書籍に掲載されている14個の表についての著作権(複製権、譲渡権、公衆送信権)侵害及び著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示権)の侵害であると主張し、

  1. 著作権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき、Yらに84万円、
  2. 著作者人格権の不法行為による損害賠償請求権に基づき、Y1に対し100万円、Y2に対し、100万円、Y3に対し、50万円、
  3. 著作権法112条1項に基づき、Yらに対し、被告書籍の複製、譲渡、公衆送信の差止め禁止、
  4. 同条2項に基づき、Yらに対し、被告書籍の廃棄及びその電子データを記憶した媒体の廃棄を、
  5. 同法115条に基づき、Yらに対し、別紙告知文の掲載を求めた。

[東京地裁]
民事46部の長谷川浩二裁判長は、原告Xの本件書籍の各表は、自動車に採用されているプラスチックに関する事実をごく一般的な形式に整理したものにすぎず、その表現自体は平凡かつありふれたもので、著作物性を認めることはできない、としてXの請求を棄却した。

[知財高裁]
第2部清水節裁判長は、原判決の認定判断を支持し、控訴人Xの請求は、理由がないとし、控訴を棄却した。2審において、Xは、本件書籍の各表が編集著作物であるとも主張したが、アイデアの独創性や記載事項の情報としての価値を述べたに過ぎず、著作権法上の保護対象でないとした。

1審、2審とも、書籍及びその中の表は、著作物性がないとされている。

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

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2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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