センチュリー21事件

2015年10月27日

「CENTURY21」の名称で、フランチャイズチェーンを営む原告が、「CENTURY21。CO.JP」のドメイン登録をした被告に対し、フランチャイズ契約違反、不正競争防止法違反に基づき、被告ドメインの使用差止、登録抹消および損害賠償を求め、また被告に対し、被告の法人格は権利濫用で、A社と同視すべきで、原告がA社に有する未払いの債権5532万9175円の支払を求めた事件で、原告の請求を認容した事件である。

東京地裁平成25年7月10日判決(平成24年(ワ)第7616号)

原告Xは、「CENTURY21」の名前で、不動産業者むけのフランチャイズチェーン事業本部であり、加盟店に対する営業支援等を主とする会社である。
被告Yは、原告のフランチャイジーであった不動産業者である。

原告Xと被告Yは、平成23年6月21日、フランチャイズ契約を結んだ。
原告Xのフランチャイジーであった訴外A社(横浜不動産)は、遅くとも平成10年頃、「CENTURY21.CO.JP」(本件ドメイン)を登録し、平成23年6月21日、これをAは、被告Yへ譲渡した。

Xは、Yに対し、

  1. フランチャイズ契約又は不正競争防止法2条1項12号、3条、4条に基づき、本件ドメインの使用差止、登録抹消及び損害賠償を求めた。
  2. 被告Yは、形式上は、A社と別法人だが、法人格の濫用であり、A社と同一視されるべきで、XはA社への債権5532万9175円を有しており、その支払いを求めた。

東京地裁民事29部大須賀滋裁判長は、原告Xの請求をほぼ全部認容した。

「判決主文」

  1. 被告は、建物の賃貸の媒介、建物の売買の媒介、土地の賃貸の媒介、土地の売買の媒介の各役務の提供に関し、「CENTURY21」を含むドメインを使用してはならない。
  2. 被告は、別紙ドメイン名目録のドメインの登録を抹消せよ。
  3. 被告は、原告に対し、平成23年12月28日から別紙ドメイン名目録記載のドメインの登録抹消済みに至るまで、月5万円の割合による金員を支払え。
  4. 被告は、原告に対し、5162万2641円及びこれに対する平成23年3月31日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
  5. 被告は、原告に対し、370万6534円及びこれに対する平成24年3月31日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
  6. 訴訟費用は被告の負担とする。
  7. この判決は、第2項を除き、仮に執行することができる。
判決文において、多くの場合、遅延利息は「年5分」であるが、この事件、商人同士であり、「年6分」である。日本でも、まだこういう不動産業者が存在し、外国の大手の企業を騙す者がいることに驚く。