大家重夫の世情考察

スメルゲット事件

ホームページ上の広告販売用商品写真について、1審は著作物性を認めず、2審は、著作物性を認め、1万円の損害賠償を認めた事例である。

知財高裁平成18年3月29日判決(平成17年(ネ)第10094号判タ1234号295頁)
横浜地裁平成17年5月17日判決(平成16年(ワ)第2788号)

平成13年頃、Aは、シックスハウス症候群対策品である「スメルゲット」及び「ホルムゲット」の広告販売をインターネット上で行っていて、ホームページにおいて、その商品の写真(本件写真)を掲載し、「川崎市に住むKさん一家は、県営住宅に当選し、新築の団地に引っ越ししました。すると間もなく6歳の娘がアトピー性皮膚炎にかかり、極度のアレルギー体質となってしまいました」といった文章を掲載した。
インターネット上で、商品販売を行うY1(株式会社プラスマークス)及び被告Y2(有限会社)は、平成14年11月から平成15年6月27日まで、本件写真を文章とともにAに無断で、自社のホームページに掲載した。
平成16年、Aは、X(有限会社トライアル)へ営業権を譲渡した。
Xは、Yらに対し、本件写真と文章について、複製権ないし翻案権を侵害したとして、損害賠償60万円及び慰藉料150万円を求めて訴えた。

[横浜地裁]
1審は、本件写真の著作物性および文章の著作物性を認めず、請求棄却。

[知財高裁]
2審の塚原朋一裁判長は、

  1. 本件写真の著作物性を認め、
  2. 文章については、創作性がない部分について同一性があるが、各文章について、複製権ないし翻案権について侵害はない、

とし、YらはXへ、連帯して1万円及びこれに対する平成15年6月28日から支払済みまでの年5分の金員を支払えとの判決を下した。

1審と2審の判断が異なった事例である。

[参考文献]三浦正広・コピライト2006年9月号43頁。


ページトップへ

中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

シリア難民とインドシナ難民 - インドシナ難民受入事業の思い出のイメージ

シリア難民とインドシナ難民 - インドシナ難民受入事業の思い出 【2,800円+税】

ウルトラマンと著作権 - 海外利用権・円谷プロ・ソムポート・ユーエム社のイメージ

ウルトラマンと著作権 - 海外利用権・円谷プロ・ソムポート・ユーエム社 【4,500円+税】

インターネット判例要約集 - 附・日本著作権法の概要と最近の判例のイメージ

インターネット判例要約集 - 附・日本著作権法の概要と最近の判例 【2,800円+税】