グーグルの検索サイトにかって不良グループに属していたこと関する情報が表示されていたため、グーグルに削除を求め、削除を求めた237件のうち、122件について削除の仮処分を決定した事件である。
グーグルの検索エンジンで、自分の名前を検索すると、検索結果として表示される見出しと検索先の記事の一部を表示する「スニペット」にかって不良グループに属していたことに関する情報が表示され、すでにこのグループとは全く関係がないが、融資を申し込んだ銀行から「風評被害対策をしなければ融資できない」と指摘され、グーグルに対し、検索結果237件の削除を求めた。
関述之裁判官は、「検索結果の一部はプライバシーの一部として保護されるべきで、人格権を否定している。検索サイトを管理するグーグルに削除義務がある」と認め、検索結果から『男性は素行が不適切な人物との印象を与え実害も受けた』として男性側の請求を認め、約230件のうち、およそ半数の237件の削除を命じた。
[参考文献] 神田知宏「ネット検索が怖いー『忘れられる権利』の現状と活用」(ポプラ新書・2015年5月7日)45頁。
尾村洋介「http://mainichi.jp/feature/news/p20141109mog00m040005000c.html」
福井健策編「インターネットビジネスの著作権とルール」(著作権情報センター・2014年)252頁(池村聡執筆)
この事件の弁護人神田知宏弁護士は、後掲「ネットが怖い」40頁以下でEU裁判所2014年5月13日判決を知り、訴訟を提起し、5月後、この決定を得た、と述べている。