大家重夫の世情考察

アルファネット事件(刑事)

被告人がわいせつな画像データを記憶、蔵置させたホストコンピュータのハードデスクは、刑法175条のわいせつ物に当たる、とした刑事判例である。

最高裁平成13年7月16日判決(平成11年(あ)第1221号、判時1762号150頁。刑集55巻5号317頁)
大阪高裁平成11年8月26日判決(平成9年(う)第1052号、判時1692号148頁、高刑集52巻42頁)
京都地裁平成9年9月24日判決(平成7年(わ)第820号、判時1638号160頁)

自らパソコン通信「アルファネット」を開設、運営していた被告人は、ホストコンピュータのハードデイスクにわいせつな画像データを記憶、蔵置させて、不特定多数の会員が、自己のパソコンを操作して、電話回線を通じ、ホストコンピュータにアクセスして、わいせつな画像データをダウンロードし、画像表示ソフトを使用してパソコン画面にわいせつな画像を現出させ、これを観覧することができる状態にした。

1審及び2審は、会員の再生閲覧が可能な状態に設定したことが、「公然陳列」に当たるとして、刑法175条の公然陳列罪にあたるとした。

被告人は、上告し、会員が再生閲覧するのは、自分のパソコンにウンロードされたわいせつな画像データで、ホストコンピュータに記憶蔵置された画像データは、不可視なままで、わいせつ性が顕在化していない、わいせつ物公然陳列罪は成立しない、と主張した。

最高裁第3小法廷(奥田昌道裁判長、千種秀夫、金谷利廣、濱田邦夫裁判官)は、被告人がわいせつな画像データを記憶、蔵置させたホストコンピュータのハードデスクは、刑法175条のわいせつ物に当たるとした。同条のわいせつ物を「公然と陳列した」とは、その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいうとした。
原判決は、同旨の判断をしているとして、上告を棄却した。

この結論は、正しいと思う。

[参考文献]
園田寿「ダウンロードとわいせつ物陳列罪」『別冊ジュリスト・メデイア判例百選』(№179)(2005年12月)242頁。


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中国政官データ[2016年5月版]

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2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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