大家重夫の世情考察

「就職情報」著作物事件

ウエブサイトに掲載の就職情報は、著作物であるとされた事例。

東京地裁平成15年10月22日判決(平成15年(ワ)第3188号、判時1850号123頁)

原告(エン・ジャパン株式会社)は、株式会社シャンテリーから同社の転職情報に関する広告の作成及びウエブサイトへの送信可能化について注文を受けて、転職情報を作成し、平成15年1月7日から原告が開設するウエブサイトに掲載した。
被告(イーキャリア株式会社)も、株式会社シャンテリーから、同社の転職情報に関する広告の作成及びウエブサイトへの掲載について注文を受けて、転職情報を作成、平成15年1月8日、被告が開設するウエブサイトに掲載した。掲載時期について争いがある。

被告Yがインターネット上に開設したウエブサイトに掲載した転職情報について、これは、原告Xが創作し、そのウエブサイトに掲載した転職情報を無断で複製ないし翻案したものであるとして、Xが著作権(複製権、翻案権、公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害であると主張し、掲載行為の差止及び損害賠償5720万円を求めた。

民事29部飯村敏明裁判長は、原告作成の転職情報について、著作物性を認め、被告が、原告の著作権(複製権、翻案権、送信可能化権)を侵害したとして、

  1. 被告は、原告に対し、金65万円及び平成15年2月27日から支払済みまで年5分の金員の支払を命じ、
  2. 原告のその余の請求をいずれも棄却する、との判決を下した。
2011年(平成23年)の「データSOS事件」(原告敗訴)のように、同業者の間で、広告の文章が同じか酷似とし、著作権侵害事件になるケースが多い。本件は原告勝訴である。(ありふれた文章)でなく、著作物であるという注目すべき判例。

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

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2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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