医師が患者が月刊誌に掲載したがん闘病記事 を、患者に無断で、医師がクリニックのホームページに掲載し、医師が著作権(複製権、公衆送信権)侵害及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)侵害に問われた事例である。
原告Xは、平成14年、末期の子宮頸がんを宣告されたが、化学療法、外科療法等により治癒した者である。
被告Yは、平成16年4月21日から平成20年3月18日まで、Xを診療、治療を実施したYクリニックを経営する医師である。
Xは、平成18年1月頃から、体験を基に、「がん闘病マニュアル」を執筆をはじめて、月刊誌「がん治療最前線」に平成18年10月号(8月発売)から、20回にわたって連載し、のち単行本にした。
Yは、平成17年に、Yクリニックのホームページを開設していたが、Xの記事の4回目(平成19年1月号)から10回目連載の分及び18回連載分の本文部分を、ホームページの「漢方コラム」欄に転載した。
Xは、Yへ平成20年9月16日、Yの転載中止を求め、Yは、同年9月末日までに、転載記事を削除した。
平成21年、Xは、Yに対し、著作権侵害、著作者人格権侵害、プライバシー権侵害及び名誉権侵害で、1250万円の損害賠償を求めて提訴した。
[東京地裁]
民事40部の岡本岳裁判長は、次のように判断した。
「判決主文」
1,被告は、原告に対し、41万6000円及びこれに対する平成21年4月25日から支払い済みまで年5分の割合の金員を支払え。(あと省略)」