児童ポルノのURLをホームページ上に明らかにした行為は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等等等に関する法律」第7条4項「公然と陳列した」に当たる、という多数意見で、被告人は有罪とされたが、反対意見が付された事例である。
この事件は、第三者が開設しているインターネット上の掲示板に記憶、蔵置されている児童ポルノを、被告人が共犯者が管理運営するホームページ上にURL(識別番号)を記し、不特定多数の利用者が閲覧可能な状況にすることは、(児童ポルノを公然と陳列した)に当たるか、という事案である。
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等等等に関する法律」(平成11年5月26日法律第52号)第7条4項は、「児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者」には、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。(以下略)」と定める。
1審大阪地裁は、「公然と陳列した」と解し、被告人を懲役8月、執行猶予3年及び罰金30万円に処した。
2審大阪高裁も「被告人Bが開設したウエブページに本件児童ポルノのURLを明らかにする情報を掲載した行為は、当該ウエブページの閲覧者がその情報を用いれば特段複雑困難な操作を経ることなく本件児童ポルノを閲覧することができ、かつ、その行為又はそれに付随する行為が全体としてその閲覧者に対して当該児童ポルノの閲覧を積極的に誘引するものである」「児童ポルノ公然陳列に該当する。」とし、控訴棄却した。
最高裁(岡田喜代子裁判長、田原睦夫、大谷剛彦、寺田逸郎、大橋正春)は、適法な上告理由には当たらないとして上告を棄却した。 大橋正春裁判官の反対意見は、「公然と陳列」とは、「所在場所の情報を単に示すだけでは不十分」であるとし、被告人の行為は幇助犯の成立の余地があり、その余地につき検討すべきで、正犯として処罰することはない、とした。