大家重夫の世情考察

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速読本舗事件

書籍の要約文を掲載するウエブサイトは、許されるか。

東京地裁平成13年12月3日判決(平成13年(ワ)第22067号、判時1768号116頁)

 平成8年頃、Y(有限会社コメットハンター、本社福井市)は、インターネット・プロバイダAとサーバースペース提供に関する契約を締結し、Yのホームページを開設、そこに、ビジネス書の要約文を紹介するサイト「速読本舗」を置いた。
 Yは、毎月4冊のビジネス書を選び、その要約文を作成し、会費を支払った個人、法人の会員にメールサービスによって、書籍要約文を送信した。また、毎月、一冊の書籍要約文をホームページ上に無料で公開し、新規にこのサービスに加入する会員を募集した。
 Yは、要約した書籍の著者には、全く無断で、報酬も支払わず、連絡もしなかった。

 江口克彦、竹村健一、田原総一朗ら9名の著名な評論家、文化人、経営者である書籍の著者X1~X9らが、原告となって、Yに対し、複製権、翻案権、公衆送信権、送信可能化権及び著作者人格権(同一性保持権)を侵害するものとして、その差止めと損害賠償を請求して訴えた。 X1らは、インターネット・プロバイダAへも著作権侵害で訴えた。

[東京地裁判決]
被告Yは、答弁書、準備書面を提出せず、口頭弁論期日にも出頭しなかった。民事29部飯村敏明裁判長は、Yが請求原因事実を認め、自白(民事訴訟法159条、179条)したものとみなし、原告の請求をすべて認容したものとした。

[判決主文]

  1. 被告は別紙書籍要約文を自動公衆送信又は自動公衆送信可能化してはならない。
  2. 被告は、被告の開設するウエブサイトから別紙各書籍要約文を削除せよ。
  3. 被告は、各原告に対し、それぞれ金110万円(うち10万円は弁護士費用)及びこれに対する平成13年10月28日から各支払済みまで年5分の金員を支払え。

 なお、Xらは、Aの行為も著作権侵害であると主張、Aに対し差止及び損害賠償を求めたが、XA間で、裁判上の和解が成立した(和解条項は判時1768号118頁に掲載。)

被告は、著者、出版社の承諾をとり行うか、被告が読み、褒めるなり、批判するなりして、文章を前後に書き、「引用」の形式で、試みる方法があった。

[参考文献]
山本順一・「速読本舗事件」「サイバー法判例解説」(商事法務・2003年)26頁。

2ちゃんねる削除義務放置事件

インターネットの運営者はどんな責任があるかが論ぜられた事件である。

東京高裁平成17年3月3日判決(平成16(ネ)第2067号、判時1893号126頁。)
東京地裁平成16年3月11日判決(平成15年(ワ)第15526号)

 インターネットの運営者は、どういう責任を負うか、という事件である。
書籍に掲載された対談記事(原告ら2名が著作権共有)が、ある利用者によりそのまま「2ちゃんねる」に転載され、送信可能化され、アクセスした者に自動公衆送信された。
対談者の1人が、「2ちゃんねる」の運営者に対し、「運営者は著作権侵害を行っている」との警告をし、対談記事の削除を求めて、訴えた。
 原告は、対談記事の発言者、被告は、「2ちゃんねる」の運営者である。

[東京地裁]

  1. 裁判所は、自動公衆送信又は送信可能化差止請求について、相手方が、現に侵害行為を行う主体となっているか、あるいは侵害行為を主体として行うおそれのある者に限られる。被告は、書き込みの内容をチェックしたり、改変したりすることはできず、運営者である被告は、侵害行為を行う主体でない、とした。
  2. 発言者から削除要請があるにも拘わらず、ことさら電子掲示板設置者が要請を拒絶したりすれば、著作権侵害の主体と観念され、差止請求も許容されようが、本件ではその事情はない。プロバイダー責任制限法に照らし、本件では、被告が送信防止装置を講じた場合、同法による発信者に対する損害賠償責任が免責される場合に当たらない、発信者から責任追及されるおそれあり、また被告に送信可能化又は自動公衆送信を止める義務なし。

 原告敗訴。原告控訴。

[東京高裁]
2審では、逆転し、原告が勝訴した。
(1),電子掲示板の設置者は、書込まれた発言が著作権侵害(公衆送信権侵害)に当たるとき、侵害行為を放置しているときは、放置自体が著作権侵害行為と評価すべき場合がある。電子掲示板の運営者は、著作権侵害となる書込みがあったと認識した場合、適切な是正措置を速やかにとる義務がある。著作権侵害が極めて明白な場合、ただちに削除するなど、速やかに対処すべきである。本件の場合、被告は、本件発言がデッドコピーで、著作権侵害と容易に理解し得た。発言者に照会もせず、是正措置をとらなかった。被告は、故意過失により著作権侵害に加担したと評価できる。原告著作権者が、著作権侵害者の実名、メールアドレス等発信者情報を得ることはできず、削除要請が容易であるとは到底言えない。被告は、著作権の侵害者である、とした。

山本隆司「コピライト」2004年8月号20頁は、1審東京地裁判決に対して、17頁にわたり批判的に判例紹介をしている。田中豊も「コピライト」同号7頁(講演録)において東京地裁平成16年3月11日判決に批判的である。草地邦晴・知財管理55巻13号2007頁は、2審東京高裁判決を「貴重な事例を提供するもの」として、好意的である。

ナップスター型音楽ファイル交換事件

インターネットを使って音楽を送受信してもかまわないか。

東京高裁平成17年3月31日判決(判例集未登載)
東京地裁平成15年1月29日中間判決(平成14年(ワ)第4237号。判時1810号29頁、判タ1113号113頁) - 東京地裁平成15年12月17日判決(終局判決、判タ1145号102頁判時1845号36頁)
仮処分、東京地裁平成14年4月11日決定(判タ1092号110頁)

 インターネット上のピア・ツー・ピア(P2P)方式の電子ファイル交換サービスにおいて、ユーザーの間で、音楽著作物を複製して電子ファイルの送受信が行われる。
 これによる著作権侵害が起きる場合において、このサービスの提供者は、どういう責任を負うか。

 被告Y1は、ピアー・ツー・ピア技術を用い、中央サーバー(セントラルポイント、P2Pネトワークの方式の1つでP2Pネットワークを見つけやすくするための入り口として働くホストのこと)を設置し、インターネットを経由して、利用者のパソコンに蔵置されている電子ファイルから他の利用者が好みの音楽のものを選択して、無料でダウンロードできる「ファイルローグ」事業を行っている業者である。
 被告Y2は、Y1の代表者。
 原告Xは、日本音楽著作権協会(JASRAC)である。
原告Xは、被告らに、原告の管理著作物を複製したMP3ファイルを本件サービスにおける送受信の対象とすることの差止めを求めるとともに、Yら2名に対して2億1000万余円の損害賠償金の連帯支払を求めて訴えた。

「東京地裁」 次の点が争われた。

  1. ハイブリッド型P2Pファイル交換サービスのセンターサーバーの提供者が、ユーザーのパソコン間で、直接行われる電子ファイルの送受信の「主体」であるか。
  2. 差止めの対象となる行為の特定方法。
  3. 著作権侵害の主体とプロバイダ責任制限法3条1項「情報の発信者」の関係。
  4. 損害賠償額の認定。

東京地裁平成15年1月29日中間判決および平成15年12月17日判決の結果は、次の通りである。

  1. 1審被告Y1が運営する本件サービスにおいて、Xに無断でXの管理著作物を複製した電子ファイルをユーザーのパソコンの共有フォルダに蔵置した状態で、本件サーバーに接続させる行為は、Xの著作権侵害であり、Y1がその著作権侵害の主体である。
  2. 「送信型パソコンから被告サーバーに送信されたファイル情報のうち、ファイル名または、フォルダ名のいずれかに本件管理著作物の『原題名』を表示する文字及び『アーテイスト』を表示する文字(漢字、ひらがな、片仮名並びにアルファベットの大文字、小文字等の表記方法を問わない。姓又は名についてはいずれか一方のみの表記を含む)の双方が表記されたファイル情報に関連つけて、当該ファイル情報に係るMP3ファイルの送受信行為として特定するのが、最も実効性のある方法である。」
  3. Yらは、自らがプロバイダ責任制限法上のプロバイダに該当するので、損害賠償責任を免れると主張したが、Y1は、同法2条4号所定の「発信者」に該当し、同法3条1項による損害賠償責任の免責は適用されない。
  4. 本件サービスにおいて、本件各MP3ファイルが送信可能化ないし自動公衆送信されることによって、原告の受けた使用料相当額の損害額については、特段の事情のないかぎり、本件使用料規程の定める額を参酌して算定するのが合理的である。

しかし、諸事情を考慮し、著作権法114条の4により、2億7932万8000円の概ね10分の1に相当する3000万円(平成3年11月1日から平成14年2月28日までについては概ね10分の1に相当する2200万円)を使用料相当損害額とした。
 裁判所は、JASRAC等のもつ「自動公衆送信権」「送信可能化権」の侵害であるとして損害賠償を命じている。
 このように被告のようなファイル交換サービス事業者は、単に電子ファイルの送受信に必要なファイル情報を提供しているに過ぎないが、管理性があり、営業上の利益を得ていることから、著作権、著作隣接権の侵害行為の主体であるとした。

関係者にとって重要な判例である。

[参考文献]
平嶋竜太・ファイルローグ事件(中間判決)「サイバー判例解説」(商事法務・2003年)60頁。富岡英次・判タ1154号188頁。
田中豊編「判例で見る音楽著作権訴訟の論点60講(日本評論社・2010年)209頁、356頁、176頁(市村直也執筆)。紋谷暢男編「JASRAC概論」151頁以下、特に185頁(執筆田中豊)。

社保庁LAN電子掲示板事件

ジャーナリストが週刊現代に掲載した記事を社会保険庁の職員が、社会保険庁のLANシステムの中の新聞報道等掲示板にそのまま掲載し、ジャーナリストから訴えられた事件である。

東京地裁平成20年2月26日判決(平成19年(ワ)第15231号)

原告は、ジャーナリストで、社会保険庁に関する記事(本件著作物)を株式会社講談社発行の「週刊現代」に掲載した。
社会保険庁は、社会保険庁LANシステムを管理運営しているが、その電子掲示板に、社会保険庁の職員が、平成19年3月19日、同年4月2日、同年4月9日、同年4月16日に原告の本件著作物を掲載した。同年6月8日、本件掲示板を一旦閉鎖した。

原告は、被告国に対して、複製権および公衆送信権の侵害であるとして、本件LANシステムからの本件著作物の削除と掲載の差止めと374万円の損害賠償を求めて訴えた。
被告国は、著作権法42条1項「行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合」にあた利、複製権侵害でない、その後の複製物の利用行為である公衆送信行為は、その内容を職員に周知させるという行政目的を達するためのもので、著作権法49条1項1号により、複製権侵害とみなされるべきでなく、著作権法42条の目的達成の行為であるから公衆送信権侵害でない、と主張した。

「東京地裁判決」
民事46部設楽隆一裁判長は、社会保険庁職員による本件著作物の複製は、公衆送信権侵害であると判断し、次のように判決した。

将来の掲載行為の予防的差止請求は、理由があるとして、

  1. 被告は、社会保険庁が運営する社会保険庁LANシステムの電子掲示板用記録媒体に別紙目録記載の著作物を記録し、又は当該著作物を公衆の求めに応じ自動送信させてはならない。
  2. 被告は、原告に対し、42万0500円及びこれに対する平成19年4月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

本件著作物の公衆送信権侵害行為により、原告が被った損害額は、22万0500円とし、弁護士費用20万円、合計42万500円としたのである。

明治32年から昭和45年末まで施行された旧著作権法30条第9は、「専ラ官庁ノ用ニ供スル為複製スルコト」は、著作権侵害にならないと規定していた。

[参考文献]岡邦俊・JCAジャーナル55巻5号54頁。

オークションカタログ事件

絵画・絵画カタログをインターネットで自由に送信できるか。

東京地裁平成21年11月26日判決(平成20年(ワ)第31480号)

 原告等は、現代美術の作家で、絵画等の作品(本件著作物)の著作権者である。
被告は、オークション等を業とする株式会社エスト・ウエストオークションズである。

 被告は、原告の著作物の画像をフリーペーパー、パンフレット、冊子カタログに掲載し、その一部をインターネットで公開した。
 原告らは、原告等の複製権及び原告Xの公衆送信権を侵害したとして不法行為に基づく損害賠償を請求した。

 被告は、次のように主張した。

  1. 引用(32条)である。
  2. 展示に伴う複製であるから47条の「小冊子」である。
  3. 被告は、オークションは香港で開催され、これは「時事の事件の報道」に当る。
  4. オークションに先立ち著作権者に無断でカタログが作成されることは、国際慣行である、原告の著作権行使は、権利濫用である。

と被告は主張した。

民事47部阿部正幸裁判長は、

  1. 原告著作物をフリーペーパー等に掲載し、文字の部分は、資料的事項を箇条書きにしているが、32条の「引用」に当たらない。
  2. 47条は、観覧者のためのものであることが必要で、フリーペーパー等への掲載は、観覧者に限らない多数人に配布するから、「小冊子」に当たらない。
  3. 本件パンフレットは、オークションの広告で、「時事の事件の報道」に当たらない。
  4. 原告の著作権行使は、権利濫用に当たらない、とし、
    1. 被告は原告Aに対し、20万円、
    2. 被告は原告Bに対し、9万円。
    3. 被告は、原告Cに対し、14万円。
    4. 被告は、原告Dに対し、9万円。
    5. 原告のその余の請求をいずれも棄却した。
この判決の約1月後の平成22年1月1日施行の改正著作権法により、一定の要件を満たせば、権利者の許諾なしに美術品、写真の譲渡等をしようとする場合、その画像を、その申出のための複製又は自動公衆送信を行える、ことになった(47条の2)。
フランス美術著作権団体とピカソの相続人が毎日オークションに対し、オークションカタログに無断転載したとして、訴え、それぞれ、損害賠償金を得た事件が「東京地裁平成25年12月20日判決平成24年(ワ)第268号」であるがこれはインターネット送信は行っていないので本書に収録しなかった。

[参考文献]
茶園成樹「知的財産法判例の動き」『ジュリスト』1420号(平成22年度重要判例解説)320頁。種村佑介『ジュリスト』1422号153頁。
福王寺一彦・大家重夫「美術作家の著作権」19頁、231頁。

TVブレイク事件

無許諾の音楽付動画ファイル視聴サービスが音楽著作権者の公衆送信権等を侵害するとされた事例である。

知財高裁平成22年9月8日判決(平成21年(ネ)第10078号判時2115号103頁)
東京地裁平成21年11月13日判決(判時2076号93頁判タ1329号226頁)

(1)東京地裁平成21年11月13日判決
 被告Y1(ジャストオンライン社)は、インターネット上で、動画投稿・共有サービスを運営する会社で、旧商号を株式会社パンドラTVといい、平成17年11月10日、インターネット等の通信ネットワークを利用した映像コンテンツ配信事業等を目的として設立された株式会社である。  被告Y2は、Y1の代表者である。

原告X(日本音楽著作権協会JASRAC)は、音楽著作物の著作権等の管理事業者である。 原告Xは、被告Y1が主体となって、そのサーバーに原告Xの管理著作物の複製物を含む動画ファイルを蔵置し、これを各ユーザーのパソコンに送信しているとして、

  1. 被告Y1に対して著作権(複製権及び公衆送信権)に基づいて、それらの行為の差止を求めると共に、
  2. 被告Y1及び被告Y1代表者Y2に対して、不法行為(著作権侵害)に基づいて過去の侵害に対する損害賠償金及びこれに対する遅延損害金並びに将来の侵害に対する損害賠償金の連帯支払

を求めた。

すなわち、音楽著作権者であるXが、

  1. 別紙記載の音楽著作物を、被告Y1のサーバーの記録媒体に複製し、又は公衆送信することの禁止、
  2. 被告Y1Y2各自が、原告Xへ1億28174888円支払え、
    1. 被告Yらは、原告Xに対し、各自平成20年4月25日から同年11月4日まで1月当たり、944万円支払え、
    2. 被告らは、各自、平成20年11月5日から、被告Y1が別紙サービスにおいて、別紙記載音楽著作物の複製及び公衆送信(送信可能化を含む)を停止するに至るまで1か月当たり504万円支払え、

との請求の訴訟を提起した。

被告Yらは、本件サービスにおいて、著作権侵害の主体は、ユーザーであると主張した。
被告Yらは、原告Xは、本件管理著作物を示すことはしても権利侵害コンテンツとする具体的な権利侵害情報の特定をしないまま漠然と権利侵害通知をしたのみであるから被告Y会社は、具体的な権利侵害の認識はない。放置したことをもって被告Y1が著作権侵害の主体という結論は導くことはできない等の反論を行った。

[東京地裁判決]
民事40部の岡本岳裁判長は、次のように述べて、音楽著作権者の公衆送信権等を侵害するとして、差止請求を認容するとともにし、約9000万円の損害賠償を命じた。
「著作権法上の侵害主体を決するについては、当該侵害行為を物理的、外形的な観点のみから見るべきではなく、これらの観点を踏まえた上で、実態に即して、著作権を侵害する主体として責任を負わせるべき者と評価することができるか否かを法律的な観点から検討すべきである。」「この検討に当たっては、問題とされる行為の内容・性質・侵害の過程における支配管理の程度、当該行為により生じた利益の帰属等の諸点を総合考慮し、侵害主体と目されるべき者が自らコントロール可能な行為により当該侵害結果を招来させてそこから利得を得た者として、侵害行為を直接に行う者と同視できるか否かとの点から判断すべきである。」とし、「被告Y1は、著作権侵害行為を支配管理できる地位にありながら著作権侵害行為を誘引、招来、拡大させてこれにより利得を得る者であって、侵害行為を直接に行う者と同視できるから、本件サイトにおける複製及び公衆送信(送信可能化を含む。)に係る著作権侵害の主体というべきである」とした。

主文

  1. 被告Y1は、1,別紙記載の音楽著作物を、原告のサーバーの記録媒体に複製し、又は公衆送信することをしてはならない。
  2. 被告各自が、原告へ各自8993万円及びうち5748万円に対する平成20年4月24日から支払い済みまで年5分の割合の金員を支払え。
  3. 請求の趣旨第3項(2)に係る訴え中、被告らに平成21年9月12日以後に生ずべき損害賠償金の支払いを求める部分を却下する。
  4. 原告のその余の請求(訴え却下部分を除く)をいずれも棄却する。
  5. (省略)
  6. (省略)

[知財高裁判決]
知財高裁第4部滝澤孝臣裁判長は、原判決の文章を基にして加除あるいは、改変し、その上で、「原判決は相当であって、本件控訴は棄却」とした。
著作権侵害主体について、次のように述べている。
「控訴人会社が、本件サービスを提供し、それにより経済的利益を得るために、その支配管理する本件サイトにおいて、ユーザーの複製行為を誘引し、実際に本件サーバーに本件管理著作物の複製権を侵害する動画が多数投稿されることを認識しながら、侵害防止装置を講じることなくこれを容認し、蔵置する行為は、ユーザーによる複製行為を利用して、自ら複製行為を行ったと評価することができるものである。よって、控訴人会社は、本件サーバに著作権侵害の動画ファイルを蔵置することによって、当該著作物の複製権を侵害する主体であると認められる。また、本件サーバに蔵置した上記動画ファイルを送信可能化して閲覧の機会を提供している以上、公衆送信(送信可能化を含む。)を行う権利を侵害する主体と認めるべきことはいうまでもない。以上からすると、本件サイトに投稿された本件管理著作物に係る動画ファイルについて、控訴人会社がその複製権及び公衆送信(送信可能化を含む。)を行う権利を侵害する主体であるとして、控訴人会社に対してその複製又は公衆送信(送信可能化を含む。)の差止めを求める請求は理由がある。」

この知財高裁判決は、一定の条件下、動画投稿サイト自身が複製の主体に当たると認めている、とされる。小泉直樹教授は、「クラウド時代の著作権法」において、「このようなサービスにおいて、動画投稿サイトが投稿された違法著作物のファイル形式の統一を行う場合、当該統一行為自体については47条の9の適用を受けるが、形式を統一したファイルを著作権者に無断でサーバーに蔵置する行為自体は、『準備に必要』とはいえないので違法であることに変わりはない。」とされる。
平成24年著作権法改正により、情報通信の技術を利用した情報提供の場合(各種動画投稿サイト、SNSなど)、「記録媒体への記録または翻案」など準備に必要な情報処理のための利用を、著作権侵害にしない、という「47条の9」が設けられた。このことと、当該情報自体が著作権侵害物であること、は別で47条の9によって影響を受けない、ことが小泉直樹教授、池村聰弁護士の問答(ジュリスト1449号17頁)で明らかにされている。また、サーバーへの蔵置が、「準備」にあたる(当該提供を円滑かつ効率的に行うための「準備」に必要な電子計算機による情報処理を行うのため必要な限度であること)とされれば、47条の9により合法である。
この判決は、クラウド・コンピューテイングに関連して、重要な判決となった。

[参考文献]
岡村久道「プロバイダ責任制限法上の発信概念と著作権の侵害主体」(堀部政男監修「プロバイダ責任制限法実務と理論」(商事法務・2012年)116頁)
田中豊編「判例で見る音楽著作権訴訟の論点60講」184頁(市村直也執筆)
小泉直樹、池村聰、高杉健二「平成24年著作権法改正と今後の展望」ジュリスト1449号12頁。小泉直樹「日本におけるクラウド・コンピューテイングと著作権」(小泉直樹、奥邨弘司、駒田泰土ほか「クラウド時代の著作権法」勁草書房・2013)25頁。

「まねきテレビ」事件

日本のテレビ番組をインターネットにより、海外の日本人は視聴できるか。

知財高裁平成24年1月31日判決(平成23年(ネ)第10009号)
最高裁平成23年1月18日判決(民集65巻1号121頁、判時2103号124頁、判タ1342号05頁)
知財高裁平成20年12月15日判決(平成20年(ネ)第10059号判時2038号110頁)
東京地裁平成20年6月20日判決(平成19年(ワ)第5765号)

 海外の日本人がインターネット回線を通じて、日本のテレビ番組を鑑賞できるよう日本に居住するAが事業を始めた。
 Aは、コンピュータ、その付属機器の製造販売、電気通信事業法に基づく一般第2種電気通信事業等を目的とする会社である。
Aは、「まねきTV」という名の、インターネット回線を通じてテレビ番組が視聴できるサービスを入会金3万1500円、毎月5040円で、提供しようとした。サービスとは、利用者が購入したソニー製の「ロケーション・フリー」という機器をAの事務所に置いて、インターネット回線に常時接続する専用モニター又はパソコンで、海外の利用者が、インターネット回線を通じてテレビ番組を視聴できるようにするものである。
ロケーションフリーという機器は、地上波アナログ放送のテレビチューナーを内蔵し、受信する放送をデジタル化し、このデータを自動的に送信する機能を有する機器(ベースステーション)を中核的なものとした機器である。
原告B(NHK,TBSなど)は、放送局である。Bは、Aの事業は、放送局(放送事業者)に無断で、そのテレビ番組を放送する権利すなわち公衆送信権又は送信可能化権を侵害するとして、訴えた。

[東京地裁]
 1審東京地裁は、Bの請求を棄却し、Aは勝訴した。
理由は、

  1. ベースステーションが自動公衆装置に該当すれば、送信可能化権侵害になるが、そのためには、送信者にとって当該送信行為の相手方が不特定または、特定多数の者に対する送信をする機能を有する装置が必要である。ところで、ベースステーションの所有者が利用者であり、サービスを構成する機器類は汎用品で、特別なソフトウエアは用いられていない。従って、ベースステーションによる送信行為は、各利用者によってなされるものだ。ベースステーションは、1対1の送信をする機能で、自動公衆送信装置に該当しない、送信可能化権侵害は認められない。
  2. 自動公衆送信しうるのは、デジタル化された放送で、アナログ放送のままではインターネット回線で送信できない。アナログ放送をベースステーションに入力することは自動公衆送信し得るようにしたものでない。アンテナから利用者までの送信全体が公衆送信(自動公衆送信)に当たらず、公衆送信権侵害は認められない

とし、原告の請求を棄却した。

[知財高裁]
 2審知財高裁は、

  1. 送信可能化とは、自動公衆送信装置の使用を前提とする。
    本件では、各ベースステーションは、あらかじめ設定の単一の機器あてに送信する1対1の送信を行う機能を有するに過ぎない、自動公衆送信装置とはいえない。利用者がベースステーションに放送を入力するなどして、放送を視聴しうる状態に置くことは、放送の送信可能化に当たらない、送信可能化権侵害は認められない。
  2. ベースステーションが自動公衆送信装置に当たらないとすれば、本件サービスにおけるベースステーションからの送信が自動公衆送信としての公衆送信行為にも該当せず、ベースステーションについても送信可能化行為がなされているともいえない。公衆送信権侵害も認められない。

[最高裁]
 最高裁は、次のように述べて事件を知財高裁へ差し戻した。

  1. 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより、当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置は、これがあらかじめ設定された単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合であっても、当該装置を用いて行われる送信が自動公衆送信であるといえるときは、自動公衆送信装置に当たる。
  2. 自動公衆送信が、当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置の使用を前提としているが、当該装置が受信者からの求めに応じて情報を自動的に送信することができる状態を作り出す行為を行う者が、その主体である。
    当該装置が公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており、これに継続的に情報が入力されている場合には、当該装置に情報を入力するする者が送信の主体である。

 2審では、

  1. ベースステーションを自動公衆送信装置と認めなかったが、最高裁は、自動公衆送信装置と認めた。
  2. 2審では、利用者が主体であるとしたが、最高裁は、ベースステーションをその事務所に置き、管理し、ベースステーションに放送の入力をしているAを主体とした。

[知財高裁]
知財高裁は、本件放送の送信可能化及び本件番組の公衆送信行為の各差止を求める原告(NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)らの請求には理由があり、被告に対し、著作権及び著作隣接権侵害による損害賠償の支払いを求める原告らの請求も一部理由があるとし、次の判決を下した。

主文

  1. 原判決を取消す。
  2. 被告は、別紙目録記載のサービス(まねきTV)において、別紙放送目録記載の放送(NHKなどが放送波を送信して行う地上波テレビ放送)を送信可能化してはならない。
  3. 被告は、別紙サービス目録記載のサービスにおいて、別紙放送番組目録記載の番組(NHK「バラエテイー生活百科」など)を公衆送信してはならない。
  4. 被告は、原告NHKへ、50万9204円支払え。
  5. 被告は、原告日本テレビ、原告TBS、原告テレビ朝日、原告テレビ東京へ、それぞれ24万0663円支払え。
  6. 被告は、原告フジテレビへ、20万6517円支払え。
  7. 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

知財高裁は、ベースステーションに本件放送の入力をしている者は、被告であり、ベースステーションを用いて行われる送信の主体は被告であり、本件放送の送信可能化の主体は、被告である。被告の本件サービスによる本件放送の送信可能化は、原告らの送信可能化(著作隣接権)侵害、本件番組の公衆送信は、原告らの公衆送信権(著作権)侵害であるとした。

重要な判決で、多くの判例批評がある。

[参考文献]
島並良「自動公衆送信の主体」(「平成23年年度重要判例解説」281頁。
『ジュリスト』1423号(2011年6月1日号)(特集まねきTV/ロクラクⅡ最判のインパクト)小泉直樹「まねきTV・ロクラクⅡ最判の論理構造とインパクト」『ジュリスト』1423号6 頁、田中豊「利用(侵害)主体判定の論理ー要件事実論による評価」『ジュリスト』1423号12頁、上原伸一「放送事業者の著作隣接権と最高裁判決のインパクト」『ジュリスト』1423号19頁、奥邨弘司「米国における関連事例の紹介ー番組リモート録画サービスとロッカーサービス の場合」『ジュリスト』423号25頁、「まねきTV最高裁判決の解説及び全文」『ジュリスト』1423号32頁。最高裁判決について、岡邦俊「ロケーションフリー」テレビへの入力者は送信可能化権の侵害主体である。」『JCAジャーナル』2011年4月号62頁。山田真紀最高裁調査官・Law & Technology 51号95頁

「夕暮れのナパリ海岸」事件

ハワイの写真家の写真が、日本の旅行業者のブログに無断転載された事件である。

東京地裁平成24年12月21日判決(平成23年(ワ)第32584号)

原告X1は、米国国籍のハワイ州在住の職業写真家である。
原告X2は、ハワイの美術品販売のほか写真のライセンス事業を業務とするハワイ州の法律に基づく有限責任会社である。

X1は、「夕暮れのナパリ海岸」(写真1)と「たそがれ時のサーファー」(写真2)の写真を米国で最初に発行した。
被告Yは、東京都に住み旅行業を営み、ブログも運営している。
Yは、平成23年1月10日および同年2月4日、その運営する「旅の料理人、…」と題するブログにおいて、インターネットからダウンロードした写真1と写真2を掲載した。
X1は、Yに対し、X1の写真1が許諾していないに、使用されているとして、甲弁護士を通じて、写真1の削除と10万円の支払いを求めた。Yは、1万円を送付し、経営体力がなく10万円は払えないという文書を送付した。甲弁護士は、Yへ、1万円では和解に応じられない、写真2の存在も判明したので、写真2の削除と損害金残額の19万円の支払いを求め、著作権(複製権、公衆送信権)侵害の訴訟を提起した。

被告Yは、(ヤフーサイトで、「画像ハワイ」と入力し検索し、検索結果の画面(乙4)が出てきたので、NO PICTURE や著作権者のサインの記載があるのもを除き、2枚の写真を選択した。その出展元は、壁紙Linkの「世界遺産と世界の風景デザイナーズ壁紙」というカテゴリーで)(その中には「サイトで海外のショップでフリーの素材として販売していたもの」「無料でダウンロードした壁紙ハ、デスクトップピクチャーとして、あなたの生活に憩いを与えてくれるでしょう。また、ホームページ素材としてお使いください。」との記載があった。)。Yは写真をブログに掲載した手順は、「ヤフーハワイ検索から本件写真をピックアップ」「1つを画面上でクリックすると写真が現れる、下のリンクをクリックすると写真が現れる。出典元の確認をするため画面(写真の上で)をクリックすると写真が現れる。この壁紙Linkで消費者の被告がフリー素材であると『誤認』するような記載があった。次ぎに、写真の上にカーソルを合わせ、名前を付けて画像を保存した.最後に、自分のブログに画像をアップした」と述べた。

東京地裁民事29部大須賀滋裁判長は、次のように判断した。

  1. 準拠法は、法の適用に関する通則法17条(不法行為)により、日本法である。
  2. 本件写真は、著作物性があり、X1が著作者で、著作権者である。X2は、独占的利用許諾権を付与され、ウエブに掲載したり、不正使用した侵害者から損害賠償を徴収している。
  3. 被告は、検索サイトヤフーで「ハワイ」に入力、クリックしているうちに、壁紙Linkサイトの記載により、フリー素材、無料と誤信したと主張したが、認めることができないとし、「被告は壁紙Linkの記載を閲覧することなく、Yahoo!の画像検索結果から本件写真をダウンロードした蓋然性が高い」とした。
  4. Yは、写真の利用について、利用権原の有無について確認を怠り、写真をダウンロードし、複製し、アップロードしブログに掲載し、公衆送信したことに過失がある。
  5. Yは、X1に対し、金7万8704円(本来8万8704円だが1万円控除)と支払済みまでの年5分の金員の支払を命じた。X2へは、写真1について、99米ドル、写真2について、178.2ドルの手数料相当額の損害が生じたとして、1ドル80円として、2万2176円とし、弁護士費用5万とし、X2に対し、金7万2176円と支払済みまでの年5分に金員の支払を命じた。
被告Yが、本件写真は、フリーであると誤信した、との主張も面白いが、これを裁判官が採用しなかった。この判決当時、1ドル80円である。

小動物用サプリメント事件

原告が著作権や独占的利用権を有する著作物を、被告らが無断でウエブサイトに掲載したとして、ウエブサイトへの表示等の差止と削除、損害賠償を求めたが、被告らに対し、契約期間中、自由に使用することを許諾していたとして、原告の請求が棄却された事例である。

東京地裁平成26年8月28日判決(平成25年(ワ)第2695号)

 原告X(プラセンタ製薬(株))は、小動物用のサプリメントを製造する会社である。
被告Y1は、Xとの間に、平成23年10月18日、「小動物用プラセンタサプリメントの販売協定書」を結び、Y1の代表取締役であるY2は、Xに対し、Y1が本件契約に基づき負担する一切の債務について連帯して保証する旨、約束した。

Xは、Y1へ、「動物病院でのプラセンタ療法」というパンフレット、「プラセンタとは…?」と題するポスターのデータ、「人生におけるプラセンタのはたらき」と題するポスターのデータなどを無償で交付した。
Y1は、平成23年12月初旬頃から、Y1のホームページやY1が管理するウエブサイトに、Xから提供された記載内容に依拠し、これとほぼ同内容の記載を掲載した。

Xは、平成25年、Yらに次のことを請求する訴訟を提起した。

  1. Y1Y2は、連帯して、300万円を支払え。
  2. 被告らは、別紙目録記載の「被告著述」の内容をインターネットのウエブサイトに表示し、又は、紙媒体として印刷、頒布してはならない。
  3. 被告らは、別紙目録記載の「被告著述」欄記載の内容をインターネットのウエブサイトから削除し、これを記載した紙媒体を廃棄せよ。

東京地裁民事47部高野輝久裁判長は、次のように判断して、原告Xの請求を棄却した。

  • 「原告と被告会社の間で」
  • 「被告会社が本件各物件を複製したりホームページに掲載したりするなどして自由に利用することを当然の前提にしている」
  • 「原告は、本件契約を締結するに当たり、被告会社に対し、本件契約期間中、本件各物件等を複製したりホームページに掲載したりなどして自由に利用することを許諾していたものと認められる。」
  • 「本件各物件が著作物であり、これについて原告が著作権又は独占的利用権を有しているとしても」
  • 「被告らが本件各物件と同内容のものを被告サイトに掲載して公衆送信し、これらを複製して被告チラシ1及び2,被告ポスター及び被告パンフレット1及び2等に利用することが原告の著作権等(公衆送信権、複製権又は独占利用権)を侵害すると認められない。」
  • 「原告の請求は、その余につき判断するまでもなく、全て理由がない。」
プラセンタは、胎盤の意で、美容や健康維持を目的に胎盤に含まれる成分の一部を皮下や筋肉に注射することをプラセンタ療法というようである。
原告と被告の間で、どういう「契約」をしたか、原告は、了解していなかった。

色切り替えパッチ事件

氏名不詳者がアップロードしたファイルに含まれるプログラムとされる制作物は、原告創作に係るプログラムとされる制作物(パッチ)の複製又は翻案であるとし、プロバイダ責任制限法により、特定電気通信役務提供者へ発信者情報の開示を求め、開示が認められた事例である。

東京地裁平成26年11月26日判決(平成26年(ワ)第7280号)

パッチとは、オペレーテイングシステムやアプリケーションプログラムの不具合などを修正するためのファイルをいう。
原告は、本件パッチを制作した者である。
被告(ビッグロープ株式会社)は、インターネット等のネットワークを利用した情報通信サービス、情報提供サービスその他情報サービスの提供を業とする株式会社で、プロバイダ責任制限法の「特定電気通信役務者」である。

別紙ウエブページのURLにより表示されるウエブページに、氏名不詳の者がアップロードしたプログラムとされる制作物があり、これは、原告の制作物(本件パッチ)の複製物ないし翻案物であり、この発信者の行為は、原告の複製権又は翻案権及び公衆送信権の侵害であるから、発信者に対し、損害賠償請求権を行使するため、原告は、被告に対し、プロバイダ責任制限法4条1項に基づいて、発信者情報の開示を求めて訴えた。
原告は、本件パッチは、平成7年(株)バンダイ発売の家庭用ゲーム機「スーパーファミコン」用のゲーム「SDガンダム GNETXT」に関して原告がそのバグ等を改善するために作成したプログラムであり、本件色替えパッチに創作性がある、プログラムの著作物と主張した。
被告は、原告のは「バンダイプログラムを改変するためのデータ列」で、「原告の困難かつ多大な努力と、それらの創意工夫は、原告の個性による創作・創造というよりは、専らバンダイプログラム自体の原状に規定・拘束された、ある種の必然的な制作作業というべきもの」で、「著作物における、制作者の個性の表現ともいわれる創作性とはおよそ異なる」と主張した。

東京地裁民事29部嶋末和秀裁判長は、次のように判断した。

  1. 本件パッチは、著作権法2条1項10号の2の「プログラム」に該当する。
  2. 本件パッチの中、少なくとも本件色替えパッチは、「プログラムの著作物」である。
  3. 発信者プログラムのうち、少なくとも本件色替えパッチに対応する部分は、本件パッチの複製物である。
  4. 本件発信者の行為は、原告の複製権及び公衆送信権を侵害するものである。
  5. 原告は、本件発信者に対し、損害賠償請求権の行使のため本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由がある。

[判決主文]

  1. 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
  2. 訴訟費用は被告の負担とする。
このあと、「色替えパッチのプログラム著作物」について、著作権侵害あるいは翻案権侵害の訴訟が行われるのであろうか。
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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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