大家重夫の世情考察

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あまちゅあふぉーとぎゃらりー事件(刑事)

(1),画像処理ソフトによるマスク処理の画像データを記憶蔵置したコンピュータのデスクアレイが、「わいせつ図画」に該当し、(2)この画像データをサーバーコンピュータに送信、記憶蔵置させた行為が「公然と陳列した」に該当し、(3)日本国内から国外の海外プロバイダーのサーバーコンピュータへわいせつ画像を送信し記憶蔵置させる行為にも刑法の適用させることができるとされた事例である。

大阪地裁平成11年3月19日判決(平成9年(わ)第637号、判タ1034号283頁)

被告人は、インターネット上に、男女の性器、性交場面を露骨に撮影したわいせつ画像にマスク処理した画像データ18画像分を東京都港区赤坂のプロバイダのサーバーコンピュータに送信、その記憶装置であるデイスクアレイ内に記憶蔵置していた。被告人は、このマスクを外すことのできる「エフ・エル・マスク」と称する画像処理ソフトの利用方法等に関するホームページにアクセスできるリンク情報データを、被告人の滋賀県の自宅から、サーバーコンピュータに送信し、被告人開設のホームページにアクセスした不特定多数のインターネット利用者が、電話回線を使用し、マスクを外して、わいせつ画像を復元閲覧することが可能な状況を設定した。

被告人は、わいせつ画像データ合計102画像分を米国のレンタルサーバー会社のコンピュータに送信、同コンピュータの記憶装置であるデイスクアレイ内に記憶、蔵置させ、被告人開設のホームページにアクセスして会員登録した日本国内の不特定多数の利用者がわいせつ画像を再生閲覧できるようにした。

[大阪地裁]
第7刑事部湯川哲嗣裁判長は、

  1. 画像処理ソフトによるマスク処理の画像データを記憶蔵置したコンピュータのデスクアレイ自体が、刑法175条の「わいせつ図画」に該当するとした。
  2. わいせつ画像データをサーバーコンピュータに送信し、デスクアレイに記憶、蔵置させ、不特定多数の者ガダウンロードして、これを閲覧可能な状況においた被告人の行為が刑法175条1項「公然と陳列した」に該当する。
  3. 日本国内から国外の海外プロバイダーのサーバーコンピュータへわいせつ画像を送信し記憶蔵置させる行為にも刑法の適用させることができるとした。
わいせつ図画公然陳列罪にあたる刑事事件が、案外多い。

[参考文献]
高山佳奈子「別冊ジュリスト メデイア判例百選」(堀部政男・長谷部恭男編・2005年)246頁。

アルファネット事件(刑事)

被告人がわいせつな画像データを記憶、蔵置させたホストコンピュータのハードデスクは、刑法175条のわいせつ物に当たる、とした刑事判例である。

最高裁平成13年7月16日判決(平成11年(あ)第1221号、判時1762号150頁。刑集55巻5号317頁)
大阪高裁平成11年8月26日判決(平成9年(う)第1052号、判時1692号148頁、高刑集52巻42頁)
京都地裁平成9年9月24日判決(平成7年(わ)第820号、判時1638号160頁)

自らパソコン通信「アルファネット」を開設、運営していた被告人は、ホストコンピュータのハードデイスクにわいせつな画像データを記憶、蔵置させて、不特定多数の会員が、自己のパソコンを操作して、電話回線を通じ、ホストコンピュータにアクセスして、わいせつな画像データをダウンロードし、画像表示ソフトを使用してパソコン画面にわいせつな画像を現出させ、これを観覧することができる状態にした。

1審及び2審は、会員の再生閲覧が可能な状態に設定したことが、「公然陳列」に当たるとして、刑法175条の公然陳列罪にあたるとした。

被告人は、上告し、会員が再生閲覧するのは、自分のパソコンにウンロードされたわいせつな画像データで、ホストコンピュータに記憶蔵置された画像データは、不可視なままで、わいせつ性が顕在化していない、わいせつ物公然陳列罪は成立しない、と主張した。

最高裁第3小法廷(奥田昌道裁判長、千種秀夫、金谷利廣、濱田邦夫裁判官)は、被告人がわいせつな画像データを記憶、蔵置させたホストコンピュータのハードデスクは、刑法175条のわいせつ物に当たるとした。同条のわいせつ物を「公然と陳列した」とは、その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいうとした。
原判決は、同旨の判断をしているとして、上告を棄却した。

この結論は、正しいと思う。

[参考文献]
園田寿「ダウンロードとわいせつ物陳列罪」『別冊ジュリスト・メデイア判例百選』(№179)(2005年12月)242頁。

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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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