大家重夫の世情考察

2,インドシナ難民流出-の背景

 1964年(昭和39年)8月2日、米国務省は、北ベトナムが米駆逐艦を攻撃したと発表、米軍は、同月4日、北ベトナム海軍基地を爆撃した。同月7日、米議会は、大統領に戦争遂行権限を付与し、米国は、ベトナムへ軍事介入を始めた。
 8月11日、池田勇人内閣は、南ベトナムへ、緊急援助を決定し、米国を支援したが、自衛隊は派遣しなかった。
同年11月9日、佐藤栄作内閣になるが、佐藤内閣も自衛隊を派兵することはなかった。
1965年1月、韓国は、南ベトナムへ派兵を決定した。
 日本では、1965年4月、鶴見俊輔、小田実、高畠通敏、吉川勇一らがベ平連(ベトナムに平和を!市民文化団体連合)を作った。(注1)ベ兵連は、脱走米兵を匿ったりした。(注2
 「何でも見てやろう」の小田実、「思想の科学」の鶴見俊輔(注3)は、当時、一般の注目を集め、知識人に人気があった。
 一方、与党の松田竹千代衆議院議員(もと衆院議長)は、後述するようにベトナムで、孤児になった児童の収容施設をつくり、そのための基金集めを提唱し、国会議員に呼び掛けて、歳費の一部を拠金させ「アジア孤児福祉財団」を作っていた。昭和43年頃であった。
昭和50年4月、南のサイゴン市(のち、ホーチミン市)から、アメリカ軍が引き上げた。グエン・カオキ首相等の南ベトナム政府の高官らは、アメリカ軍が伴って、アメリカに行った。
 同年5月12日、日本船は、ベトナム人ボートピープルを救助し、この人々を日本に上陸させた。この昭和51年頃、行きは自動車を運び、帰りは、石油を中近東から運んでいた。(注4
日本や外国の船舶が、ボートピープルーを救助した、との報道が頻繁になされた。
昭和52年(1977年)、外務省が主導し「ベトナム難民対策連絡会議」を設置した。
対象は、ベトナム人のみであった。
昭和53年(1978年)2月14日、衆議院の予算委員会で、奥野誠亮議員が、インドシナ3国の難民について質問した。
奥野議員は、第二次田中角栄内閣の文部大臣(1972-1974)をされ、こののち、1980年の鈴木善幸内閣の法務大臣、1987年の竹下登内閣の国土庁長官になる。
 奥野は、ベトナムからアメリカに渡った人が15万人を超えたこと、ラオスとカンボジアから、タイに逃げた人が15万人であること、ベトナムから小舟で200キロから300キロの沖合でそこを通過する外国航路の船に救いを求める者、運よく救われるのは2割を切ると言われるが、3年前、百数十人、2年前、二百数十人、1年前八百数十人、合計1200人を超えること、難民15人を乗せた船が日本に寄港し、引き取り国が決まらず、13人は、上陸を許されなかったなどの話ののち、次のように質問した。
「引き取り国が決まっている難民についてのみ」一時上陸を許し、そうでない難民は一時上陸を許さなかったが、「現在は、その難民の引き取り国が決まってなくても上陸が許されるようになったかどうか、難民関係閣僚協議会を設けられましてから、その後に方針の変更があったかどうか。」という質問をした(この質問に対する答弁は別に掲載する)。
 昭和53年(1979年)、6月28日、いわゆるサミット、先進国首脳会議が東京で開幕した。
大平正芳首相、英国サッチャー首相、カナダのクラーク首相が初参加、あと、カーター米大統領、デスカールデスタン仏大統領、シュミット西ドイツ首相、アンドレオッチ伊首相のG7である。
ここで、日本もベトナム、ラオス、カンボジア3国の難民受け入れを正式に決めた。大平首相は昭和53年12月1日組閣するが、それまでの福田赳夫総理へ、昭和52年1月20日就任のカーター大統領が、日本へ、難民を受入れるよう申込んでいたようである。


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中国政官データ[2016年5月版]

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)のご紹介

著者:大家 重夫(Shigeo Ohie)の写真

2013年 フランス ランスにて

プロフィール

1934(昭和9)年生まれ
久留米大学名誉教授・国際日本語普及
協会理事
LAIT(IT知財法務研究所)
客員研究員

京都大学法学部卒
1960年文部省(現・文部科学省)
1970年文化庁著作権課長補佐
1988年私立久留米大学法学部教授。
1995年久留米大学法学部長
2005年久留米大学特任教授・名誉教授
2011年日本ユニ著作権センターより
「著作権貢献賞」を受賞

主な著書に

  • 肖像権(1979年・新日本法規)
  • 改訂版ニッポン著作権物語(1999年・青山社)
  • タイプフェイスの法的保護と著作権(2000年・成文堂)
  • 唱歌『コヒノボリ』『チューリップ』と著作権(2004年・全音楽譜出版社)
  • 肖像権 改訂新版(2011年・太田出版)
  • 美術作家の著作権 その現状と展望
    (福王子一彦と共著・2014年・里文出版)
  • ウルトラマンと著作権
    (上松盛明氏と共編・2014年・青山社)
  • インターネット判例要約集(2015年・青山社)

などがある。

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