第2章 全人代、党総書記、国家主席、党中央軍事委員会主席 ≪第1部 中華人民共和国小史≫

2016年6月16日

 習近平は、2012年11月15日、就任演説を行った。次いで、2013年3月開催の全国人民代表大会(全人代)で国家主席に選ばれた。全人代は、各地方から選ばれてくる約3000人の共産党員の代表者である。形式上、最高決定機関である。実質的には、共産党中央政治局委員25名、そのうち7名の常務委員が中国の実権を握っている。
 共産党が中国の政治を押さえているが、実質的権力の根拠は、中央軍事委員会主席である。鄧小平は、総書記や国家主席には目もくれず、中央軍事委員会主席にはこだわった。
江沢民は、この地位をながく手放さなかった。党中央軍事委員会主席は、軍を管理下におくために、強い威信を維持するため、軍の上位者を汚職などで摘発したり、降格させたり、力のあることを誇示しなければならない。
 それでも、軍が勝手に行動を起こした場合、政府、党が外国からの抗議に、(全てを知っているという顔をして)対処している。
 1920年代から1941年まで、日本政府が、関東軍の行為について、(全てを知っているという顔をして)対処したことを想起させる。

人民政治協商会議

もう一つ、「中国人民政治協商会議」という国政助言機関がある。
中国共産党のみの構成でなく、中国共産党、各民主会派、各団体、各界の代表で構成される統一戦線組織で、全国委員会と地方の省、直轄市にも設置されている。全国政治協商会議は、毎年、全国人民代表大会と同時に開催される。
初代1期の主席は、毛沢東。2・3・4期は、周恩来、5期、鄧小平、6期、鄧穎超、7期(1988年4月-1993年)、李先念、8期(1993年3月ー1998年3月)・9期(1998年3月ー2003年3月)は、李瑞環、10期(2003年3月ー2008年3月)、11期(2008年3月-2013年3月)賈慶林、12期(2013年3月ー)は、愈正声である。

副主席

副主席は多い。12期の副主席は、2013年3月現在、23名である。
パパラ・グレランジェパバルハ・チベット自治区政治協商会議主席・仏教協会名誉主席。
黄建華・初代香港特別行政区行政長官
万鋼・中国致公党主席・国務院科学技術部長。(以上の3名は第11期でも副主席)。
令計画党中央委員・党中央統一戦線部長。(のち解任)
陳元・国家開発銀行会長(陳雲の子、姉妹に陳偉力がいる。)。日本の作家、橘玲は、「融資平台」設立し、融資し、地方政府は土地売却する仕組みを考案した陳元を高く評価している。(注11
周小川・中国人民銀行総裁(2003年から人民銀行総裁)(父は、周建南機械工業部部長(1917-1995))
王家瑞・党中央委員、党中央対外連絡部長。
王正偉(回族)党中央委員、国家民族事務委員会主任、元寧夏回族自治区党委副書記
馬?(チワン族)、党中央委員、元広西チワン族自治区党委副書記
斉続春(満州族)党中央常務副主席
蘇栄(16期・17期党中央委員、前中国共産党中央党学校常務副校長、前甘粛省委書記、元・青海省委書記、元江西省委書記)が2015年3月、解任された。

委員

香港のアクションスター、俳優のジャキー・チェン=中国名・成龍(60)、ノーベル文学賞 を受賞された莫言も委員に選ばれている。任期5年である。
次の第19回党大会は、2017年(平成29年)に開かれる。
ここで、清帝国の滅亡から、毛沢東の時代までの歴史を振り返ってみる。

注11
「橘玲の中国私論」(ダイヤモンド社・2015年)148頁以下。